HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

1000円弁当で釣るファッションイベント。

2012-03-18 15:19:23 | Weblog
 年度末である。税金を使う公共事業は3月31日までに行なわれ、「いい結果」を出さなければならない。次年度も事業を継続するには予算獲得が必須で、それにはいい結果を報告して議会の承認が必要になる。  
 ただ、公共事業のいい結果は、なぜか胡散臭い。利害関係者が水面下でデータを操作するケースが少なくないからだ。いわゆる「まやかし」である。

 3月25日に開催される福岡アジアコレクションも、福岡県民の税金に支えられている公共事業。このチケットは主催者側の発表で、すでにソールドアウトになっている。
 ただ、光彩処理の「完売御礼」に反して、チケット購入は「関係団体」にも割当られている。売れ残りのリスクを避け、確実に好評さをアピールするためだ。こうしたからくりがあるのは、別に珍しくも何ともない。   
 ところが、チケットが売れても実際に観客が来場しなければ、公共事業としての「イベント効果」を疑われる。当然、いい結果とはいかなくなる。

 そこで関係団体に観客としての動員がかけられる。その人々は主催者側が福岡県に提出する報告書に書く「数字」の頭数にされ、いい結果が作り上げられるわけだ。関係団体とは、福岡アジアコレクションの名の生みの親であり、イベントにも関わっている「福岡県美容生活衛生同業組合(FUBA)」である。
 FUBA組合員である某ヘアサロンのオーナーは、「FUBAから観客として来場するように促された」と、語ってくれた。また「チケット代は組合費から出ているので、手出しはしてない」とも。つまり、チケット完売の信憑性を裏付ける「まやかしの観客」が作り出されているのだ。

 スタッフとして参加した別の組合員はこうも語る。「タレントのキャラを壊さないように、ヘアメイクは制限されている。これじゃ、自分たちの表現の場にはならない」と。さらに別の組合員は「いろんな展示もあったけど、支給された1000円弁当がいちばん豪華だった」と付け加えた。
 コレクションに何らかの形で参加した組合員は、イベントスタッフ用の弁当がもらえる特典があるようだ。おそらく、その経費はチケット代に乗せられていると思われる。
 でも、1000円の弁当が良かったのもうなずける。コレクションといっても、それはクリエーションのお披露目ではなく、タレントがチープなファッションを着てランウエイに登場する客寄せ興行に過ぎない。だから、クリエイティブワークをやっている人間にとっては、つまらないはずだ。

 イベント終了後にはフォーラムが開催され、他の活動を含め事業の総括がなされる。過去、そこで主催者側が提出した資料には、必ず「今回のコレクションは前回より、観客が増えた」との記述がある。このうちの何名かは、イベントに関心をもっているとは言い難いFUBA組合員なのである。
 でも、こんな数字は会場のキャパが決まっていれば、何の意味もない。前年の販売枚数を少なくしておけば、当然、翌年は増員したように取り繕うことができる。おそらく、主催者側もそれをわかってやっているのだろう。
 ただ、「1000円弁当で関係者を釣る」とは姑息というか、何とも情けない。それほどの価値しかないファッションイベントであることも確かだが。
コメント
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