『ぼくのボールが君に届けば』の姉妹本のような、野球が背景に必ず出てくる8話からなる短編集。
ワタシが読む中で、伊集院静の短編集が3冊目になる。前の2冊同様、野球が背景に出てくる(少々飽きました><;)が、この本には死者とのかかわりが全編にある。
作者が夏目雅子さんの夫であった事もあり、タイトルにもなっている1話目の内容は、彼方へ行ってしまった夏目雅子さんへの思いかな?と感じました。
3話目の『バラの木』は好きですね。
夫を亡くし1人息子を育てながら、息子の行動に理解できず悩むが、子供の問題行動には理由がある。子供の心情が言葉として書かれてはいないが、その行動を推察できる背景があってよくできてるなと思う。
伊集院氏の短編集3冊の中で、『ぼくのボールが君に届けば』にある『雨が好き』が1番印象に残って好きな文章ですね。
縁側から見る、降りそぼる静かな雨の風景が匂いたつようです。