高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

こだわりの河内鴨 津村さん訪問

2006-04-13 | 生産者訪問

 大阪の松原市に130年前もから、合鴨の孵化に携って来られた津村さんがおられます。30年ほど前からは、飼育・処理・加工・卸・小売を通じて、大阪の食に貢献してくださっています。

 以前にも書いたことはありますが、大阪のあひるは、太閤秀吉さんの時代に稲作用の溜め池に鯉などを放し、野鳥達が集まったのを飼育し始めたのが始まりだそうです。アイガモ農法もこの時のに、秀吉さんが奨励したそうです。アヒルのことにつては、こちらのサイトを参考に見てください。

 また、大阪の夏の風物詩の天神祭り。天神祭りといえば、鱧。しかし、昔は鱧と合鴨がこの暑い夏を乗り切る大切で、美味な食材だったそうです。ちなみに、野禽の鴨の旬は冬なのですが、稲とともに育つ合鴨の旬は夏になるのです。

 鴨料理といえば、どちらかと言えばフランス料理のイメージがあって、特にシャラン産の鴨は有名です。一般的に、フランスでは45日くらいかけて飼育、その後窒息死させます。窒息死させると全身に血がまわり、血の香りのある肉を濃厚なソースで食すというのがフランス流なのだそうです。あと、そんなに大きく育たないので毛を抜くも楽で、同じ合鴨でも青首でも大丈夫なのです。

 津村さんは、75日まで飼育し、血をしっかり抜いて絞めるそうです。それは、日本には刺身など生食することもあり、また味覚的にも血をしっかり抜いた方が好まれることが多いそうです。

 津村さんの鴨も最大のこだわりははやり餌にでしょうね。津村さんの先代のお父様が、10年間かけいろいろと改良し、抗生物質の入っていないこだわりの餌を開発したそうです。それと、飼育舎の写真をお見せしたり出来ないのは設備にもいろいろと工夫がされているからです。(津村さんは別に隠している訳ではないのですが、ここで私が公表するのは気いけません。)

 画像にあるのは(もう少し待ってくださいね。)、明日絞められ河内鴨です。一日およそ、100羽だそうです。色は皆白いです。私も初めて知ったのですが、合鴨でも首の青いの野生・美味しくて・高価というイメージがあったのですが、全く違うそうです。確かに、青首系はより鴨に近いそうですが、色や大きさは交配によって自由自在だそうです。そして、青首でもはやり家禽化しているので空にはとべないそうですが、これも交配で体を小さくして飛ばすことが出来るようになると津村さんはおっしゃっていました。要は、どんな餌を与え・どのような環境で育てるかが一番大切になってくるそうです。

 ただ、津村さんも昨年の11月に窮地に立たされたそうです。それは、鳥インフルエンザ問題です。津村さんの飼育舎は、大阪の松原の他に奈良の桜井に別の飼育舎があるそうです。松原の方で、孵化させてしばらく飼育し、奈良に移して育てる。そして、消費分を再び松原に移すそうです。その輸送前は餌を断ち、輸送中のノンストップでとても神経を使うそうです。そして、輸送後の鴨の糞は、大きなストレスと食べ物を取っていないことであまり状態良くない宿便が出るそうです。その宿便に微量のインフルエンザ菌が見つかったそうです。それも、事前に津村さんは予測していて、冷静な対応を求めていたそうですがマスコミにあたかも確定したように報道されたそうです。そして、しばらく飼育後、再び検査したところ、やはり菌は発見されなかったそうです。そのことを放送局に申し出たところ、視聴率が取れないので無理です、と言われたそうです。これを、野菜で置き買えるなら、農薬が撒かれた虫のいない畑(これも実際は現実ではなく、農薬も撒かれても、虫は全て死ぬわけではないので存在します)、有機で育てたられて寄生した虫を手で摘み取っていく野菜。貴方なら、どちらを食べたいと思いますか。鴨も同じなのですよね。現に、津村さんはこの鴨を食べ続けて、今も元気過ぎる程、活動しておられるのですから。

 今回の津村さんの訪問は、短い時間でしたがいろいろと考えさせることが多くありました。これは、酒蔵を巡った時にも思ったのですが、誤った情報があたかも真実のように信じられていること。私もその一員かもしれません。だから、このように実際に生産者さんの方を直接訪問して、自分の目で確かめているのかもしれません。

 こんなことを書いたら怒られるかもしれませんが、津村さんの外見はなかりいかついのです。でも、とても研究熱心で、とても気さくにいろいろと教えてくれました。とてもファンになりました。また、近いうちに再訪問するころをお約束して、この日はお別れしました。

 購入した鴨ロースを刺身・治部煮・お汁にして頂きました。かなり大きめの胸ロースだったの、少し油はきつかったかもしれませんが、刺身で食べた赤身はとても美味しかったし、治部煮の鴨はとても柔らかく仕上がったて力強い味でした。お汁は、鴨を掃除した時にできたスジと脂と昆布で出汁を取りました。カツオを加えなくて、充分の風味が出ました。こんなに肉厚で、しかも臭みも無くて、とても気に入りました。これなら、胸を張ってお客様に食べて頂けます。いや、食べてもらいたい味です。

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2 コメント

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僕は肥後橋のフレンチで料理人をしてます。旬彩桜... (すずきくん)
2011-10-05 00:41:17
僕は肥後橋のフレンチで料理人をしてます。旬彩桜花さんに行ってみたいと思いながら日曜日が休みなのでなかなか行けないのですが、僕も大阪の食材で料理がしたいと思ってて、できれば生産者の人達にも会いに行きたいと思ってます。機会があればご一緒さして頂けませんか?河内鴨にも興味があります。たまたま河内鴨を調べてたらブログが出てきたので書きこませて頂きました。
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すずきくん (森田龍彦)
2011-10-08 13:04:03
すずきくん
こんばんは。

生産者や生産地に興味をもってもらって、有難うございます。

ただ、スミマセン面識のない方とご一緒させて頂けるのはご遠慮させて頂いております。

河内鴨につきましてはツムラ本店(松原)でも購入出来ますので、まずはご自身で動かれてみてはいかがでしょうか。 そこからいろいろと広がりが生まれると思いますよ。



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