高野和明著、角川書店刊
ある時出会った方が読書が好きだと伺ってお勧めの本を紹介頂き、本書を手に取りました。高野さんの作品は読んだ事がありませんでした。ネットで調べると、著作は少ないようです。少年時代から映画監督を志望しており、日本の大学を中退後渡米して映画の勉強や現場での仕事を2年程度経験したようです。
さて、本書は類い希な作品でした。作品世界が精緻で周到に構築されています。専門分野として薬学を中心としながら、素数を利用した暗号の知識、文化人類学、アフリカの政治状況など、多方面に亘る分野の概略を見事に取り入れながら、しっかりしたストーリーを描き出しました。読み終わってみれば、私の好きなSFでしたが、現実世界の有り様や人間性の根源に踏み込んだ中心テーマの捉え方は、かつて私が知っていた多くのSFの美質だけを受け継いだ作品と言えると思います。
人が日々選び取る選択の結果が、その人の人生を形作るように、一人ひとりの人間の行いの総和が人類の歴史を作り上げている事を思う時、環境問題に代表される合成の誤謬は、人類(あるいは生物)の存在の根源に起因する課題なのではないか。そんなことを考えさせられました。昨今の若手の才能を持つ作家達とは一線を画す資質の作家であると思います。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/高野和明
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評価は5です。
ある時出会った方が読書が好きだと伺ってお勧めの本を紹介頂き、本書を手に取りました。高野さんの作品は読んだ事がありませんでした。ネットで調べると、著作は少ないようです。少年時代から映画監督を志望しており、日本の大学を中退後渡米して映画の勉強や現場での仕事を2年程度経験したようです。
さて、本書は類い希な作品でした。作品世界が精緻で周到に構築されています。専門分野として薬学を中心としながら、素数を利用した暗号の知識、文化人類学、アフリカの政治状況など、多方面に亘る分野の概略を見事に取り入れながら、しっかりしたストーリーを描き出しました。読み終わってみれば、私の好きなSFでしたが、現実世界の有り様や人間性の根源に踏み込んだ中心テーマの捉え方は、かつて私が知っていた多くのSFの美質だけを受け継いだ作品と言えると思います。
人が日々選び取る選択の結果が、その人の人生を形作るように、一人ひとりの人間の行いの総和が人類の歴史を作り上げている事を思う時、環境問題に代表される合成の誤謬は、人類(あるいは生物)の存在の根源に起因する課題なのではないか。そんなことを考えさせられました。昨今の若手の才能を持つ作家達とは一線を画す資質の作家であると思います。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/高野和明
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