読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

隣の女/CD

2011年06月14日 19時52分39秒 | ■聴く
向田邦子作、朗読/岸田今日子
向田さんの作品を書籍では読んだことが、まだありません。「父の詫び状」が本棚でスタンバイしていますが。1979年にNHKで放映した「阿修羅のごとく」は、誠に強烈なドラマで、見入ってしまいました。ごく普通の家庭にうごめく人間の様々な隠し事が、ふとしたことから止めどなく流れ出してくる恐怖でした。当時は、まだ20代だったので、そのリアルさに気付きませんでしたが、それはまるで「板子一枚下は地獄」とでもいった感じのおどろおどろしいドラマでした。そして、その中で使われていた音楽も実に不気味で効果的なものでした。ネットで調べたら『ジェッディン・デデン(オスマン・トルコ陸軍行進曲)』というものだそうです。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/向田邦子
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さて、物語は、平凡な結婚をしたアパート住まいの主婦が、アルバイトのミシン掛けの折々に、隣に住む飲み屋のママの情事を盗み聞いてしまうことから始まります。毎日付き合いと称して遅く帰る夫に不満を持ちながらも、日常に埋没している主婦がふとしたことから、日常を逸脱して行きます。それは、本来の自分を取り戻すための確認作業のようです。ふとした偶然が積み重なり、加速度的に変わって行く主婦の日常が、不自然でなく、そしてその心情も十分に理解出来る不思議な作品です。人の心の奥底を、じっと冷静に見続けていた向田さんの視線が感じられる作品でした。
評価は4です。

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