村上龍著、幻冬舎刊
下記URLによれば、本作は「昭和歌謡大全集」と同じ1994年に、書き下ろし作品として発表されたようです。ある男が、突然パラレルワールドの日本へワープして全くの異世界を体験します。その異世界は、ある時期に日本が選択した道とは別の道を歩んでおり、厳しいながらも自立した国家をなっています。かなり特殊な形態を取りながら。
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URL => http://ja.wikipedia.org/村上龍
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さて、本作は、主人公の述懐がなければ、戦闘場面の何ともおぞましくリアリティを感じさせる娯楽作品として読む類の小説になると思います。そして、日本の在り方に疑問を呈する政治的な意図も感じます。
戦後教育を受け、自由と平等の意味をはき違いながら、一定の時期を生きてきて来てしまった私は、大人になって、自分の目と耳で受けた教育を検証していますが、今の日本には、かつての日本と異なった、しかしながら同根の、日本人に固有の性質に根ざした問題をはらんでいるように思います。更に、一人ひとりが、自分なりの見方や考え方を作り上げることが出来ない教育や価値観の在り方が、マスコミの論調に安易に乗りやすく、世間の雰囲気に身を委ねる国民の体質を作り上げているようです。とはいっても、私自身、多分にそのような傾向がありますが・・・。
さて本作では、主人公のやくざな経歴が、パラレルワールドでの体験を通しての述懐から少しずつ描かれて行きます。普通、やむを得ない出自や生い立ちの積み重ねの上に、人は生きていますが、恐らく、過去のそうした経験からしか、目の前の事柄を解釈できないのだと思います。作家というのは、そうした限界を突き破って作品を創造しているのだと思います。浅薄な作品のようでありながら、このような想いを惹起する”痛い”作品でした。
評価は4です。
下記URLによれば、本作は「昭和歌謡大全集」と同じ1994年に、書き下ろし作品として発表されたようです。ある男が、突然パラレルワールドの日本へワープして全くの異世界を体験します。その異世界は、ある時期に日本が選択した道とは別の道を歩んでおり、厳しいながらも自立した国家をなっています。かなり特殊な形態を取りながら。
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URL => http://ja.wikipedia.org/村上龍
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さて、本作は、主人公の述懐がなければ、戦闘場面の何ともおぞましくリアリティを感じさせる娯楽作品として読む類の小説になると思います。そして、日本の在り方に疑問を呈する政治的な意図も感じます。
戦後教育を受け、自由と平等の意味をはき違いながら、一定の時期を生きてきて来てしまった私は、大人になって、自分の目と耳で受けた教育を検証していますが、今の日本には、かつての日本と異なった、しかしながら同根の、日本人に固有の性質に根ざした問題をはらんでいるように思います。更に、一人ひとりが、自分なりの見方や考え方を作り上げることが出来ない教育や価値観の在り方が、マスコミの論調に安易に乗りやすく、世間の雰囲気に身を委ねる国民の体質を作り上げているようです。とはいっても、私自身、多分にそのような傾向がありますが・・・。
さて本作では、主人公のやくざな経歴が、パラレルワールドでの体験を通しての述懐から少しずつ描かれて行きます。普通、やむを得ない出自や生い立ちの積み重ねの上に、人は生きていますが、恐らく、過去のそうした経験からしか、目の前の事柄を解釈できないのだと思います。作家というのは、そうした限界を突き破って作品を創造しているのだと思います。浅薄な作品のようでありながら、このような想いを惹起する”痛い”作品でした。
評価は4です。
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