伊藤潔著、文藝春秋刊
台湾一周の旅行に参加した時のガイドは、日本統治下で教育を受けた60代後半と思しき男性でした。
非常に流ちょうな日本語で、簡にして要を得たガイド振りでした。
幾日目かに、国民党政権を悪し様に語り、自分達が国民党政権に如何に酷い扱いを受けたかを話しました。
ある程度の知識があったので、その知識を肉声で確認できました。
マスコミ報道で、李登輝さんのことを概略知っていましたが、台湾生まれの所謂本省人が国民党の指導者になれたことを不思議に感じていました。
また、台湾に何度か行っているうちに、穏やかな国民性に触れ、台湾について知りたいと思い、以前、本書の著者が執筆した「台湾 四百年の歴史と展望」(中公新書)を読み、当初の目的を達し、同時に、李登輝さんについても若干知り得ました。
その際、著者が「李登輝伝」を著していることが分かったので本書を手に取った次第です。
本書では、李登輝さんの「少年時代」、「青年時代」、「学究の道をゆく」、「政治家への転身」などのように、氏の画期毎に説を改めながら、若干の前後があるものの、時系列で足跡を追っています。
日本が去り国民党が来て、辛酸をなめ尽くした台湾の人々が、この事態を表して「犬去りて、豚来たる」と形容したことは、私たちが総体的にマシでは有るものの、本質的には悪行を為したことを示していると思います。
本書は、1996年2月25日の発行なので、それ以前の足跡だけが記されていますが、良さそうな類書があれば読んでみたいと思います。
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○李登輝(1) ○李登輝(2) ○伊藤潔
○「犬去りて、豚来たる」
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評価は4です。
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