読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

サンデルの政治哲学 <正義>とは何か

2015年04月25日 08時35分36秒 | ■読む
小林正弥著、平凡社刊
「ハーバード白熱教室」でマイケル・サンデルを知りました。そして、今日では一般に使われるようになった”市場”という概念とその本質を、同じ著者の「お金で買いますか 市場主義の限界(マイケル・サンデル著、早川書房)」で理解しました。それによって、この30年近くの疑問が氷解しました。しかし、政治を巡る謎が残っていたのです。政治に関する書籍を見ても、私の疑問を解けるような内容が書かれていません。
「ハーバード白熱教室」では、日常で生じている様々な課題を、どの様に捉えるのかは立場によって異なり、その立場が”思想”であることに気付きました。
昭和20年代から学校教育を受け始めた世代は、個人主義が徹底しており、アメリカナイズされた生活様式になじみがあります。しかし、社会の中で中堅の立場になってみると、そうした個人の権利に根差した考え方(思想)では、社会の様々な課題に上手く解決できそうにないことを実感しました。”市場”と”個人の権利”に力点が置かれた今日の社会経済の状況が、現実の課題を解決するどころか、なお一層混迷の度合いを増す要因になっているように思えます。しかし、そうした問題意識が明確にあったわけではなく、漠然とした不安感と疑念を感じていた20-30年間であったのでした。
本書は、政治哲学に関するマイケル・サンデルの著述や発言について解説しており、「ハーバード白熱教室」で感じた感動を、感情から知識として理解出来るように導く手引き書として読めます。少し分かりづらいものの、アメリカの政治思想史と経済政策との関係も解説されていて、得がたい書籍です。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/小林正弥
     http://ja.wikipedia.org/wiki/マイケル・サンデル
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評価は5です。

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