月村了衛著、徳間書店
月村さんの著作「機龍警察」シリーズのファンですが、その他の作品で、初めて夢中で読んでしまいました。
最初の1/3くらいは退屈でしたが、それ以降は、俄然面白くなり、睡眠時間が減りました。
かつて検察官であった主人公は、ヤバイ案件にのめり込み犯罪者に仕立てられてしまいました。
同僚を巻き込んで、今では、犬猿の仲になってしまっている。
現在は、法律の知識と能力を生かして、主として反社勢力の法律的なコンサルタントを生業としている。
資格はあっても弁護士業を行うことは出来そうに無いためです。
過去に囚われており、悔やんだり恨んだり、その場凌ぎの渡世に明け暮れています。
ある時、外国人が営む食堂の息子に、行方が分からなくなった同級生の女の子を探すことを依頼されました。
少年の僅かなお金で、なぜか引き受けてしまった。
一家揃っての夜逃げと踏んでいたが、事情を調べると不審な点が見受けられました。
引き続き調査をするうちに・・・・。
聞いたことの無いような恐ろしい犯罪者が登場しますが、その不気味さと恐ろしさを月村さんは見事に表現しています。
機龍警察にも見られる緊迫感が凄い。
そして、主人公と、主人公を憎むかつての同僚のいがみ合いには、人間世界の不条理が詰め込まれています。
人故の愚かしさと輝きと同時に緊迫の対決を描いていて読み応え十分でした。
終盤、ちょっと無理があるなと感じる点がありましたが、作品の魅力は損なわれていません。
人への眼差しの厳しさと暖かさが、現実世界の有り様をそのまま反映した作品だからだと思います。
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○月村了衛
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評価は5です。
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