夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

あるときは船より高き卯浪かな  真砂女

2009年09月21日 20時53分14秒 |  気になる詩、言葉


この前の日記「秋空につぶてのごとき一羽かな」で久女の句を紹介しましたら、コメントを頂きました。その中で真砂女にも言及されておりました。

ふんふん、真砂女は実はいすみ市からそれほど遠くない鴨川で生まれて、育ったのですよね。最初の旦那さんが失踪し、お姉さんが亡くなったので、お姉さんの後をついで、お姉さんの旦那さんと結婚させられ、鴨川の旅館の女将に。でもそれが嫌さに、泊り客の海軍士官さんのところへ逃げていくのですけど、それがまた私の実家の隣町、大村市だったんですよ。仕官さんは戦地へ、で、彼女は元の鴨川に戻って、女将を続けるのですけど、結局、離婚。銀座でバーを開くのです。このバーの名前が「卯波」 
この名前の下になったのが、タイトルに挙げた句なんです。

あるときは船より高き卯浪かな

人生の浮き沈みは波よりも高い、、、
でも、波も結構高かったりして。

仕官さんのときも、相手も自分も結婚している身、不倫でした。この銀座時代にも妻のある男性との不倫。そして相手は亡くなります。

かくれ喪にあやめは花を落としけり

「句のある自伝」には「お寺の門の表の暗がりに佇ってひそかに一人で通夜をし、葬儀の焼香は彼の友人が夫人の了解を得てお別れが出来た」とあります。

今生のいまが倖せ衣被

これはなくなる10年以上前の句ですが、多くの悲しみ、苦しみ、波乱万丈の一生を経て、なおかつ晩年をそのような気持ちで送れるというのは、幸福な人だったのでしょうね。
6年前に96歳で亡くなりました。

丹羽文雄の「天衣無縫」や瀬戸内寂聴の「いよよ華やぐ」のモデルになった人でもあります。


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
人に歴史あり (芝桜)
2009-09-21 22:06:52
波乱万丈な人生って言いますが、それだけひた向きに生きてきた
返信する
早速ありがとうございます (ゆり)
2009-09-21 22:09:06
今がしあわせ・・・なぜか新の里芋の皮むく時思い出します

衣被・・偶然昨年の冬京都のお寺さんで若いお嬢さんが
其の格好で歩かれていて
後ろから付き人が・・・

びっくりしながら興味深く見ていました。
ちょっとした絵巻でした。
自分に正直って事は・・時には他人おも・・・と
思いながら

女の強さと苦労思います。
返信する
衣被 (赤い風車)
2009-09-21 22:18:23
もちろん、あの大判のスカーフのことですよね。
サトイモのことじゃありませんよね、、、、、
でも、里芋を剥きながら、スカーフの衣被を思い出されるって、、、、
すごいですよ。
すごい博識。
私なんか今日、栗の渋皮を剥きながら、食べることしか考えていなかったのですよ。
返信する
続き (芝桜)
2009-09-21 22:25:05
途中でちょん切れちゃいました。 で、続きですが、ひた向きに自分の気持ちに正直に生きてきた証しだと思います。それが時として周りの人間を傷つけることになろうとも。それはそれである意味うらやましいことです。歌の文句じゃないけれど、ドラマチックな出来事など起こるはずもないくらいに平凡を生きてきた私などから見れば。グスン…
返信する
グスン (赤い風車)
2009-09-21 22:39:26
わたしなんぞ、グスン、グスン

おまけにいつになったら、今生の今が幸せなんてのたまえるのでしょうか、、、、、
ぐすん、ぐすん
返信する

コメントを投稿