日本の父親が子供に接する時間が少ないということが国立女性教育会館の実施した「家庭教育に関する国際比較調査」で数字的にも証明されたということがニュースになっていた。
それによると、平日の日本の父親が子供に接する時間は、3.1時間とのこと。
でも、この数字をみて、私はそんなに少なくないと思った。
考えても見てください。不況になってオーバータイムがなくなった今ですら父親はほとんどが最低でも9時-5時で仕事をしているのですよね。
職場に着くまでにたとえば東京あたりでの通勤時間は往復3時間くらいでしょうか?12時に寝て、6時に起床するとすれば、この3.1時間という数字はむしろ多いとさえ思える。
足りない時間を必死に子供のために向け、それでもまだ少ないと感じる日本の父親の平均像に私は拍手したいのだけど。
バブルの時期なんか、子供と話できる時間なんて0でした。
家を出るときにはみなまだ寝ているし、帰ったときにはもう寝ている。
母親だけに負担をかけ、父親の子供に接する時間が足りないなんて苦情を述べることは簡単だけど、子供のために仕事をやめ子供と一緒の時間を増やせと言っているのだろうか?
そんなときには日本の実情が変わらなければどうにもならないと感じていました。
実際問題として、子供が学校に上がるころというのは父親にとっても会社のピラミッドを登っている時期と重なるのですね。
9時ー5時で会社から出れるってことは、今の不況の時期だからまだ可能性がある。
しかも他の国では日本よりもっと長い時間子供と接しているって言うけど、日本ほど通勤時間が長い国を私は他には知りません。
問題は父親の関心のなさじゃない。それはもっと長い時間子供と接していたい、子供を見つめていたいと切に願っているという数字でも明らか。
関心はあるし、そう願っているのだけど、現実問題として、仕事と通勤の時間を除けば、物理的に無理なんだということが問題。
教育会館なら、調査に当たっている人たちにはそんなことはお見通しなんでしょうけど、ただ統計の数字を羅列するのではなく、それを踏まえて、どうしたら濃密な時間をすごせるのかの提言を行ってくれるとありがたいな~と思います。
あるいは「時間が少ない」なら少ない時間をどう有効に活用していけばいいのか、そんなところに社会の目が行ってくれるとありがたいのですけど。
そうですね。
でも普段子供と接していないと、あの統計にもありましたが、どういう風に接すれば良いのか、どういう風な態度をとればいいのか、戸惑っている父親が多いのも事実ですね。
親子なんですから、基本的には裸のぶつけ合いでもいいのだと思いますけど、それにしても少ない時間をどう有効に活用するのか、その辺でちょっとしたヒントをあの統計の発表に加えても良かったのじゃないかなって思いました。
教育会館の人々ってこれらの問題の専門家たちが集まっているのですから。
世の中が進歩して、人間の生活が豊かになったって言われながら、実情を見れば、親たちが子供たちと顔をあわせたり、父親が家族と過ごし、共同してなにかやれる時間はむしろ減っているのではないでしょうか。多くの父親が不安に思っているという子供と接する時間が少ないということ、これは家族と一緒にすごす時間が少ないということでもあります。
本当は家族にとってはそれが一番重要なことだと思うのですけど。
今の世の中、何が進歩しているのだろうと不思議でなりません。
この問題は今こちらのブログに移し変えようとしていますけど、大きな話題になっている加齢の問題にしても、生命が生まれてからこのかた高齢者のさまざまな問題やトラブルはずっと同じようにあったのですけど、それすら人間は解決できていない。
小手先のことが豊かになることで、本質的な問題が先送りされたり、かえって不都合を生じたりしているのではないかってちょっと心配になります。