日本の領海内で操業する漁船がロシア警備艇に拿捕され乗組員の一人が射殺された。
それを「密漁中」だの「国境侵犯」だのとロシア側発表を鵜呑みにして報道するメディア。
ついこの間、日韓で「竹島だ、いや独島だ」と争い、国内でも日本固有の領土が「実効支配」いや「不法占拠」だと大騒ぎした。
今朝の「みのもんた」は生まれ変わったように日露の「国境問題」を明快に斬りまくった。
先ずTBSが準備した説明パネルに書かれた、日本漁船の「密漁」という文字に噛み付いた。
「自分の領海内で仕事をする漁民のことを、ロシアの発表のままに密漁者扱いで報道する日本のジャーナリズムにも問題がある!」と、出演のTBS吉川解説員に話を振った。
突然の振りに面食らったのは吉川美代子解説員。 何かモゴモゴと弁解がましいことをいっていたが意味不明。
さらに「みの節」は快調に進む。
麻生外務大臣の「日本漁船がわが国固有の領土である北方四島のわが国領海内で、ロシア側巡視船により銃撃を受けて拿捕されたことを意味する。到底容認できない」、
という抗議文をパネルで示し留めを刺す。
「麻生大臣はこれにもう一言加えて欲しかった」。
みのもんたは「旧ソ連は日本が降伏した後、日ソ中立条約を一方的に破棄して日本の領土を侵略したのじゃないか。 そして一方的に自分の領土と言ったいるだけじゃないか」、・・・と付け加えて欲しかったいうのだ。
その通りだが、当日記では更にもう一言付け加えて欲しい。
「ソ連の行為を、火事場泥棒という」
更に留めの一言。
「泥棒が自分の権利を主張する行為を、盗人(ぬすっと)猛々しいと言う」とも。
ここでついでながら日本のメディアが報じない事実を二つ。
一つは沖縄の新聞が「沖縄戦」の悲惨さを訴える時に使う枕言葉に「・・・日本で唯一の地上戦を体験・・」は明らかな事実誤認。
ソ連の北方領土の不法占拠の際、占守(シュムシュ)島での悲惨な地上戦について日本国民なら忘れてはいけない。
沖縄メディアは最近「住民を巻き込んだ」を枕詞をに付け加えているようだが、それでも「沖縄戦が住民を巻き込んだ唯一の地上戦」でない。
北方領土でソ連の被害にあった一般住民のことは知られていない。
もう一つ日本のメディアが報じないので忘れ去られた事実。
コラムニストの勝谷誠彦さんが「勝谷誠彦の××な日々」で強調している≪竹島では日本人漁民5名が射殺されたのも忘れるな。 ≫ということ。
今までの日本政府はこの種の国境問題にはいつも腰がひけた態度しかしてこなかった。
最近の「竹島騒動」そして「北朝鮮のミサイル乱射騒動」では安倍官房長官、麻生外務大臣のコンビは今までにない毅然とした態度を示した。
「朝ズバッ!」のゲストの大沢弁護士は「ロシアが拿捕漁民ををロシア国内法で起訴すると言うが、日本政府がこれを座して黙認したら、北方領土を事実上ロシア領と認めた事になる」という。
この意見は重大だ。
同じくゲスト出演の民主党の松原仁議員が良いことを言っていた。
「これを契機に国際司法裁判所に提訴するべき。 もしロシアが応訴しなかったらおのれに非があることを認めたことになるのでメディアを動員して国際世論にうったえろ」。
なるほど国際世論といっても他所の国の境界争いに興味は起こらないのが世の常だが、・・・人の死が関わると重みも自ずと違ってくる。
今回不幸にも火事場泥棒の凶弾に倒れた盛田光広さんの死を無駄にしてはいけない。
安倍、麻生の最後の大仕事としてロシアを提訴せよ。
メディアは終戦後に火事場泥棒を行ったソ連の蛮行を暴いて提訴の後押しをせよ。
火事場泥棒の強弁に荷担するようなメディアは日本には存在しないと思うが、・・・・もしあればそのメディアには「言論の自由という金看板」を下ろしてもらおう。
そうなれば国際世論も日本の味方になる。
盛田光広さんの死を北方領土奪還の礎にせよ。
*
今朝のみのもんたはハマコウに噛み付かれてTBSの呪文から解き放たれたかのように歯切れが良かった。
高校野球の智弁和歌山ー帝京戦を取り上げたパネルに「ストライクが出ない!」と書いてある。
控え室で「自分の責任だ」と壁に向かって泣く臨時投手を悲劇ドラマの主人公に持っていこうとしたTBSの意図をたった二言で打ち砕いた。
「彼の責任じゃない!」
「監督の責任だ!」
高校野球では選手、監督の批判は許されない。
だが、批判は無くとも「押し出し」敗北を喫した投手を悲劇ドラマに仕立て上げたら当人はたまったものではない。
みのもんたの発言の当否はここでは論じないが、高校野球の監督の采配をテレビで真っ向から批判したのは私の知る限りみのもんたが初めて。
この数日すっかりみのもんたウォッチャーになった感がするが、それだけ、みのもんたの影響は大きいと言う事。
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◆露漁船銃撃:船長を近く起訴 3人の拘束長引く可能性も
【モスクワ杉尾直哉】北方領土・貝殻島付近の海域で北海道根室市の漁船「第31吉進(きっしん)丸」がロシア国境警備隊に銃撃・拿捕(だほ)された事件で、坂下登船長(59)ら乗組員3人の取り調べにかかわっている国後島・古釜布(ふるかまっぷ)の現地当局者は17日、毎日新聞に対し、同船長が近く密漁や国境侵犯の罪で起訴される見通しであることを明らかにした。残る2人を起訴するかどうかは取り調べ後に決めるとみられる。坂下船長の裁判で乗組員2人に証言させることも想定され、3人の拘束が長引く可能性もある。ロシア連邦保安庁サハリン国境沿岸警備局当局者によると裁判は古釜布で行われる予定。
本格的な調べはサハリン州の州都ユジノサハリンスク(サハリン島南部)から軍検察の取調官グループが到着する17日深夜以降になる。
一方、国境警備隊の銃弾を受け死亡した盛田光広さん(35)の遺体について、ロシア側は早期引き渡しに向け日本側との交渉に臨む考えだ。検視官が17日夜、ユジノサハリンスクから古釜布入りして18日に遺体の検視を行い、作業終了後に引き渡される予定。ロシア側は、日露中間ラインまで国境警備隊の船で遺体を運び、洋上で日本の海上保安庁の船に引き渡す案を検討しているという。
毎日新聞 2006年8月18日 3時00分