狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

ブッシュ、アーミテージの靖国観

2006-08-25 12:33:16 | 県知事選

会長に加藤紘一氏、自民党「アジア外交研究会」発足  

自民党の加藤紘一・元幹事長、山崎拓・前副総裁らが24日、都内のホテルで「アジア外交のビジョン研究会」の設立発起人会を開いた。

中国、韓国両国との関係改善を進めるのが目的で、衆院議員21人が出席し、会長に加藤氏を選んだ。  

党総裁選で優位に立つ安倍官房長官の外交姿勢に懸念を示す議員が多く、「安倍政権」ができた場合、「非安倍」勢力の受け皿になるとの見方が出ている。(略)(2006年8月24日23時5分 読売新聞)

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 小泉首相の8月15日の靖国参拝前後、最もテレビに露出した政治家の一人に加藤紘一がいる。

 これまでも加藤は中国を代弁するかのように、絶えず小泉の靖国参拝に反対してきた。

テレビのトーク番組でも事あるごとに、首相の靖国参拝には「『アジア諸国』だけではなくアメリカも反対している」と言った発言をして、アメリカを靖国問題に引きずり込むような意図を見せていた。

北朝鮮は別格として「アジア諸国」の中で国として靖国参拝に異を唱えているいるのは中国と韓国の二国しかない。 

いや世界で靖国参拝に反対する国はでこの二国以外寡聞にして知らない。

それが常識ある国であり、中韓二国が異常なのである。

加藤紘一はあたかも世界中が「靖国参拝反対」しているかのような印象の発言を垂れ流している。

共産党一党支配で言論の自由を封じられた中国、そして形だけは民主主義の体裁をしていても、親日派の財産を没収するような韓国、・・・この異常な二国と違って、言論の自由の認められた国なら時の政府と異なる意見もメディアに発表される。

 だからこそ日本では加藤紘一のように政府与党に属しながら政府と反対の意見をメディアは取り上げる。

アメリカでも一部の新聞、学者が靖国参拝反対の意見を発表したりするが、これも言論の自由の現れでありアメリカ政府の見解とは別の次元である。

「日本の首相が日本国内の如何なる設備を参拝しようとも中・韓にとやかく言われる筋合いはない。・・・・ 例えブッシュ大統領が参拝を反対しても私は参拝する。  もっともブッシュ大統領はそんな大人気ないことは言わない、・・・」

小泉純一郎首相は靖国神社を8月15日に参拝した後、記者団の「アメリカの言いなりではないか」の質問にそう答えた。

加藤紘一は「小泉首相の靖国参拝( 原因)が日中関係悪化(結果)」と主張するが、ブッシュ大統領及びアーミテージ元米国務副長官の見解はその真逆だ。

 「ブッシュ大統領が『日中関係は単なる神社への参拝よりずっと複雑だ』と述べたように、靖国論議は日中関係を難しくした原因ではなく、難しい状態があることの症候(つまり結果)だ」とアーミテージは産経新聞に語っている。

 つまり日中関係の悪化は原因であり、その結果中国は靖国にいちゃもんを付けているというのだ。

 と言うことは靖国参拝を止めても中国は何か他のいちゃもんをつけてくるとアーミテージはお見通しなのだ。

では日中関係悪化の主要因は何か。

 アーミテージは明快に指摘する。

 「歴史上、初めてほぼ同じパワーの両国が北東アジアという同じスペースを同時に占めるようになったため、安保や領土など多くの問題が起きてきたことだ」

 「過去の歴史では日本と中国のいずれかが総合国力で他方よりもずっと優位にあったのが対等な位置で競合するようになったことが現在の摩擦を引き起こしている」

 遠隔地の国ならともかく、お隣さんでは「両雄並び立たず」との地政学的な見方。

つまり外交と言うパワーゲームは、お隣さんだから仲良くしようといった柔な気持ちでは対処できない厳しいものだと言外に示している。

ブッシュがいみじくも指摘した通り、日中関係は単なる神社への参拝よりずっと複雑だなのだ。

友好、友好だけではやっていけない。

大体、歴史も文化も政治体制も異なる隣国と意見が異なる点が無いほうが可笑しい。

複数の意見の相違点を常に持ちながらパワーゲームに競り勝つのが外交ではないか. 

アーミテージはさらに中国のいいがかりを厳しく断じる。

 「中国政府は日本の首相に靖国神社に参拝するなと指示や要求をすべきではない」

 「民主的に選出された一国の政府の長が非民主的な国からの圧力に屈してはならない。

小泉首相には中国が靖国参拝反対を主張している限り、参拝をやめるという選択はない」

 アーミテージはつい最近までブッシュ政権の東アジア担当の国務副長官、現在民間人とは言えその発言の重みは大きい。

 もっともアーミテージは靖国神社にも一言苦言を呈することを忘れなかった。

 靖国境内にある軍事博物館の遊就館については「戦争に関する一部展示の説明文は日本で一般に受け入れられた歴史の事実とも異なり、米国人や中国人の感情を傷つける」と述べた。

今朝の産経新聞によると、これに対しては遊就館に動きがあったようだ。

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 ◆産経新聞

 国・戦史博物館、展示内容変更へ 歴史観が一面的と  

靖国神社が運営する戦史博物館「遊就館」が、館内で展示している第二次世界大戦での米国の戦略に関する記述の一部について、「誤解を招く表現があった」として見直し作業を始めたことが24日、わかった。この記述をめぐっては、遊就館の歴史観に理解を示す言論人からも「一面的な歴史観」との指摘があり、同館としても主観的な表現があることを認め、内容を変更することを決めた。同館展示物の大幅な記述の変更は異例。 内容を変更するのは「ルーズベルトの大戦略」と題して、第二次世界大戦での米国の戦略について触れた部分。  この記述では、まず「大不況下のアメリカ大統領に就任したルーズベルトは、三選されても復興しないアメリカ経済に苦慮していた」と当時の米国経済の窮状を説明。また、「早くから大戦の勃発(ぼっぱつ)を予期していたルーズベルトは、昭和14年には米英連合の対独参戦を決断していたが、米国民の反戦意志に行き詰まっていた」として、米国内に反戦世論があったことを紹介している。  その上で、「米国の戦争準備『勝利の計画』と英国・中国への軍事援助を粛々と推進していたルーズベルトに残された道は、資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要することであった。そして、参戦によってアメリカ経済は完全に復興した」と表現し、米国は国内経済の復興を目的に対日開戦を志向したと解釈できる内容だった。  こうした記述について、同館では4月ごろから見直しの検討を始め、7月ごろから本格的に見直し作業に入ったという。  この記述をめぐっては、元駐タイ大使の岡崎久彦氏も24日付本紙「正論」で、「安っぽい歴史観は靖国の尊厳を傷つける」と指摘、同館に問題の個所の削除を求めていた。岡崎氏は「早急に良心的な対応をしていただき感動している」と話している。 (08/25 03:56)

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産経新聞 07/20 01:35

靖国参拝、米中の非関与提唱 アーミテージ前米国務副長官に聞く

 ◆ 【ワシントン=古森義久】リチャード・アーミテージ前米国務副長官は産経新聞と会見し、米国の視点から日中関係の現状や靖国問題について語り、中国政府が日本の首相に靖国参拝の中止を指示することは不当であり、米国も靖国問題にはかかわるべきではないとの見解を表明した。 ブッシュ政権一期目に国務副長官を務めたアーミテージ氏は「ブッシュ大統領が『日中関係は単なる神社への参拝よりずっと複雑だ』と述べたように、靖国論議は日中関係を難しくした原因ではなく、難しい状態があることの症候(つまり結果)だ」と語り、日本の一部にある「首相の靖国参拝が日中関係を悪化させた」という主張を排した。日中関係の改善についても「日本よりまず中国が何をすべきかを考えるべきだ」と強調した。 日中関係悪化の主要因としては、「歴史上、初めてほぼ同じパワーの両国が北東アジアという同じスペースを同時に占めるようになったため、安保や領土など多くの問題が起きてきたことだ」とし、過去の歴史では日本と中国のいずれかが総合国力で他方よりもずっと優位にあったのが対等な位置で競合するようになったことが現在の摩擦を引き起こしているとの地政学的な見方を示した。 首相の靖国参拝について、(1)米国社会で犯罪者も丁重に埋葬されるように、A級戦犯も含めて戦没者などの先人をどう追悼するかは日本自身が決めることで、とくに死者の価値判断は現世の人間には簡単に下せない(2)中国は日本への圧力の手段として靖国問題を使っているため、日本側が譲歩して首相の参拝をやめたとしても、必ず別の難題を日本にぶつけてくるだろう(3)小泉首相は公人ではなく私人として参拝することを強調したが、中国側はその「譲歩」を全く認めず、靖国だけを問題にしているのではないことを印象づけた-などという点を指摘した。 アーミテージ氏はさらに「中国政府は日本の首相に靖国神社に参拝するなと指示や要求をすべきではない」と中国の対日要求を不当だと断じ、とくに「民主的に選出された一国の政府の長が非民主的な国からの圧力に屈してはならない。小泉首相には中国が靖国参拝反対を主張している限り、参拝をやめるという選択はない」と強調した。 ただし、靖国境内にある軍事博物館の遊就館については「戦争に関する一部展示の説明文は日本で一般に受け入れられた歴史の事実とも異なり、米国人や中国人の感情を傷つける」と述べた。 同氏は米国の対応についても、「米国政府が靖国や他の戦没者追悼の方法に関して小泉首相やその後継首相にあれこれ求めるべきではない。助言や意見を非公式に述べることは構わないだろう」と非関与を提唱した。    

                    ◇  

《リチャード・アーミテージ前米国務副長官が産経新聞に語った日中関係や靖国問題に関する見解の詳細》

 一、靖国問題は日中間の他の諸問題の症候だと思う。小泉首相の靖国参拝は日中関係を難しくした理由や原因ではない。ブッシュ大統領の「日中関係は単なる神社への参拝よりずっと複雑だ」という言明のとおりだ。中国は靖国を日本への圧力に使っているため、日本がもしこれまでに靖国で譲歩をしたとしても、必ずまた別の難題を持ち出し、非難の口実にしただろう。現に小泉首相は前回の参拝は平服にして、公人ではなく私人であることを強調したが、中国側はその譲歩を全く認めなかった。 

一、歴史上、初めて北東アジアでは日本と中国の両国がほぼ同じパワーを有し、同じスペースを同時に占めるようになった。このため安保や領土など多くの問題が起きてきた。そのことが日中関係を難しい状態にするようになったのだ。それ以前の歴史では両国のいずれかが総合国力で他方よりずっと優位にあったのだが、最近は対等な位置で競合するようになり、それが摩擦を引き起こしている。靖国問題はその症候なのだ。

 一、米国社会では殺人者のような犯罪人までキリスト教などの教えに従い埋葬される。同様に日本でも祖先、とくに戦没者をどう追悼するかは日本自身が決めることだ。その対象にはA級戦犯も含まれる。死者の価値判断は現世の人間には簡単には下せない。中国は日本の首相に靖国参拝中止の指示や要求をすべきではない。米国政府も日本の首相に戦没者追悼の方法についてあれこれ求めるべきではない。見解や助言を伝え、協議することはできるだろう。だがとくに日中関係でいえば、民主的に選出された一国の政府の長である日本の首相が中国のような非民主的な国からの圧力に屈し、頭を下げるようなことは決してあってはならない。

 一、小泉首相には中国から靖国参拝を反対されている限り、その要求に従って参拝をやめるという選択はないだろう。中国は日本の現首相、次期首相の参拝中止が表明されない限り、日本との首脳会談には応じないとして、自らを袋小路に追い込んでしまった。だが次期首相にその条件がそのまま適用されるかどうか。安倍晋三氏はもし首相になっても靖国に参拝するかどうかはわからないままにしている。米国は日中関係に対しては決して中立者ではない。日本は同盟国であり、中国はそうではないからだ。だから米国は靖国の論議の段階では中立を保つかもしれないが、日本が本当に小突き回されれば、日本を支援する。

 一、日本の首相の靖国参拝には問題がなくても、靖国境内にある遊就館の一部展示の説明文は米国人や中国人の感情を傷つける。太平洋戦争の起源などについて日本の一般の歴史認識にも反する記述がある。日本が自国の戦争を記録するための軍事博物館を持つことは大切だが、そこにある記述があまりに不適切なことは日本側でも再考されるべきだ。

 一、日中関係の改善について日本側ではよくそのために日本が何をすべきかという問いかけが出るが、まず中国が何をすべきかということをもっと考えるべきだ。ダンスを踊るには2人の人間が必要なのだ。中国自身が長期の利害関係を考えて、日本を含む隣人諸国ともっと仲よくしようと決めれば、靖国を含め、いろいろな手段がとれる。中国は日本への姿勢を今年3月ごろからいくらか柔軟にし、対決を避けるという方向へ動き始めたかにもみえる。日中外相会談の開催もその一つの兆しだ。

 一、中国は民主化の方向へ動く気配もあるが、なお基本的に一党独裁は変わらず、国内の矛盾や格差も激しくなる一方だ。秘密に包まれたままの軍事体制での軍拡もなお続いている。このまま軍事力を中心とする国力を強めた末、覇権を求める野心的なパワーとなるのか、それとも既存の国際秩序の保持に加わるステークホルダー(利害保有者)となるのか、自分たちもまだわからないのではないか。日米両国は同盟パートナーとして、そのどちらのケースにも備えるヘッジ(防御)戦略を協力して構築する必要がある。    

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 《リチャード・アーミテージ氏の略歴》 1967年、米海軍兵学校卒、海軍軍人としてベトナム勤務。73年に退役し、国防総省勤務、上院議員補佐官を経て83年にレーガン政権の国防次官補。2001年から04年末まで国務副長官。現在はコンサルタント企業「アーミテージ・アソシエイツ」代表。

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