沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、石井啓一国土交通相が翁長雄志知事を訴えた「辺野古違法確認訴訟」の判決が16日午後2時から、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で言い渡される。翁長知事は15日の定例会見で「基地の現状と民意を勘案すれば、私どもの考えを理解いただけるのではないか」と述べ、県側勝訴の判決に期待感を示した。
知事は判決に関し、「地方自治、民意、民主主義(の考え方)も大きく関係する」と指摘。「(判決が)どういう結果になろうと、話し合いは大切だ」と述べ、判決後に政府側と協議する考えも示した。
16日の判決では、翁長知事による埋め立て承認取り消し処分の適法性に関し、裁判所が初の判断を下す。
主な争点は、同処分と仲井真弘多前知事の承認処分、国が県に出した是正指示の適法性だ。翁長知事が是正に従わず、違法に取り消し処分を放置したのかも争われている。
高裁で敗訴した側は上告する方針で、早ければ年度内にも最高裁が判決を言い渡す。国と県は確定判決に従うことを確認しているが、翁長知事は仮に敗訴しても、今回の裁判で対象となっていない知事権限を行使し、新基地建設を阻止する考えだ。
国は翁長知事に取り消しを撤回するよう是正指示したが応じなかったため7月に提訴した。審理は2回の口頭弁論で終結し、提訴から約2カ月の早さで判決を迎える。国が都道府県を相手に、違法確認訴訟を起こすのは今回が初めて。
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辺野古移設を巡り、国(石井国土交通相)が翁長知事を訴えた「辺野古違法確認訴訟」の判決が、きょう午後2時、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で言い渡される。
国と県との対立に司法の判断が下されるのだから、静かに判決を待てばよさそうなものだが、敗訴の予感を感じ取った今朝の沖縄タイムスは合計9面を使った発狂記事。
必死の陽動作戦だ。
特に6~9面は全紙面を使って特集記事を組む念の入れようだ。
粛々と判決を待ちたい当日記としてはタイムスの膨大な発狂見出しを無視しようかと思ったが、折角の努力に敬意を表し、その一部を抜粋し紹介する。カッコ内の赤文字は筆者の独り言。
■一面トップ
翁長知事、勝訴に期待 (勝訴確信ではなく「期待」かよ)
辺野古違法確認訴訟
きょう判決
■二面トップ
国と県 根深い対決
埋め立て承認共に譲らず
【不作為の違法性】
国 県は是正や訂正もせず
県 国に強く協議申し入れ(「あらゆる手段で辺野古阻止」では協議できないだろうが)
【取り消しの違法性】
国 辺野古が適切で現実的
県 過重負担の固定化明白(辺野古移設に反対したら普天間の固定化は明白だろうが)
【是正指示の適否】
国 対米関係に亀裂の恐れ
県 国交相関与は権限逸脱
【取り消し制限法理】
国 著しい不利益には制限
県 瑕疵は取り消しが原則(瑕疵は立証できたの?)
■三面トップ
問われる 地方分権
新基地議論かみ合わず(辺野古移設を新基地建設などと嘘を書くから噛み合わないんだよ!)
辺野古違法確認訴訟
「国家存立事務」認識に差(外交・安全保障案件は国の専権事項だよ)
訴訟の争点は、翁長知事が前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した処分の適否だ。
国は処分撤回を求めて是正指示をしたが、知事は指示に従わず、この対応を「違法」と訴えている。
国側は1996年の普天間返還合意以降、長年の交渉で培った日米の信頼関係を壊さないために埋め立ては必要と主張する。市街地の中心にある普天間飛行場の移設によって危険性を除去できる点は誰でも理解できる。
一方、県側は「前知事の承認は、自然環境への悪影響などを十分に検証しておらず問題がある」と反論している。
双方の主張に隔たりは大きく、高裁で敗訴した側が上告するのは確実である。
司法決着の場は最高裁に移り、年度内にも判決が言い渡される見通しだ。
政府関係者は「和解に踏み切った当初から負けることは考えていない」と、勝訴を疑わず、司法のお墨付きを得て早期に埋め立て工事を再開する方針だ。
勝訴を確信する国に対し、県側は判決の行方に厳しい見方を示す。
時間をかけた審理の要望に反し8人の証人申請は却下され、弁論も2回で結審した。
県幹部は「訴訟指揮が国寄りだ」と不満を漏らすが、法廷で翁長知事は「確定判決に従う」と明言しており、敗訴すれば取り消し処分を撤回せざるを得ない。
だが、知事は「あらゆる方策で辺野古移設を阻止する」と、引き続き徹底抗戦する構えだ。
衆参両院の県内選挙区で辺野古反対派が議席を独占する「沖縄の民意」を背負い、判決後を見越した対抗策も検討している。
3月の和解で国と県は「判決に従い、互いに協力し誠実に対応する」と合意したが、知事は今回の訴訟には「効力は及ばない」と主張しており、火種はくすぶり続ける可能性が高い。
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沖縄県名護市辺野古の代替施設計画地、米軍普天間飛行場
【追記】
保存資料
名護市辺野古の新基地建設を巡る違法確認訴訟の判決では国と地方の関係をどのようにとらえるかも、主要争点の一つだ。1999年に地方自治法が改正されてから、国が都道府県に移譲した事務(法定受託事務)に関する処分を巡って国と県が適法性を争い、判決として示されるのは初めて。福岡高裁那覇支部は1月の和解勧告で、対立が続く状況を「地方自治法改正の精神に反する」と指摘しており、国と地方を「対等・協力」の関係に位置づけた法の精神を判決内容にどう反映するか、注目が集まる。
国の権限を都道府県に移譲することなどで、地方の活力を引き出す「地方分権改革」の流れを受け、地方自治法は1999年に改正された。国と地方の関係は「上下・服従」から「対等・協力」に位置付けが変わり、地方が担う事務への国の関与は「法律の根拠」に基づき「必要最小限」で、かつ地方の「自主性及び自立性に配慮」することが明記されている。
こうした変化を踏まえ、翁長雄志知事は違法確認訴訟で、国の訴訟提起が拙速だと繰り返し指摘した。
8月19日の弁論では「和解条項で『協議と提訴は並行して』とある。地方自治の対等・平等を踏まえ話し合わねば解決しない、ということがベースにあったと考える」と強調。対等の関係にある両者が、名護市辺野古の新基地建設問題に関する協議を深めるべきだと訴えた。
県側の代理人は「国の政策に地方自治体が従わないことを理由に、是正の指示を出すのは地方自治法上、許されない」とも主張している。
一方、国側は同じ弁論で(1)3月の知事-防衛相会談(2)4月と7月に開かれた和解条項に基づく作業部会(3)7月の普天間負担軽減推進会議-などの機会を指摘。県との協議が十分に尽くされているとの認識を、裁判所に強調した。
さらに菅義偉官房長官が協議を継続する意向を示したことを知事に認めさせ、地方との関係や協議を軽視しているわけではないとの印象づけを狙った。
高裁那覇支部は和解勧告で国と地方の関係を「それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となることが期待されている」と指摘しており、判決内容でも地方自治に関する言及が予想される。
埋め立て承認取り消し以降の動き
名護市辺野古の新基地建設を巡り、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しは違法として国土交通相が提起した違法確認訴訟の判決が16日、言い渡される。国は是正指示と前知事の埋め立て承認、県は翁長知事の承認取り消しを適法だと主張する。司法判断に注目が集まる。双方の主な主張をまとめた。
<不作為の違法性>国・県は是正や提訴もせず/県・国に強く協議申し入れ
国は、翁長雄志知事に名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを撤回するよう是正を指示したが、知事は従わない上、不服があれば提訴できるのにしなかった「不作為の違法がある」と訴えている。
「是正指示は地方自治法の規定に適合していない」として国地方係争処理委員会(係争委)に審査を申し出たのは県であり、適否を判断しなかった審査結果に不服があれば県は是正指示の取り消し訴訟を起こせたと指摘。それにもかかわらず、特段の事情もないのに審査通知から30日を過ぎても取れる手段を講じなかったとしている。
一方、県は係争委が決定で「国と県が真摯(しんし)に協議することが問題解決に向けた最善の道」と指摘したことを受け、首相らに書面で協議を申し入れたと強調。「問題解決のために積極的な措置を講じており、不作為の違法に当たらない」と反論した。翁長知事は「まともな協議もできない状態で是正指示に従わないことが、違法とされるいわれはない」とする陳述書を提出した。
また、国と県が真摯に協議し相互理解が得られるのに十分な期間が経過していないとして、是正指示から「相当期間」が経過したとはいえないと訴えた。
<取り消しの適法性>國・辺野古が適切で現実的/県・過重負担の固定化明白
国は、仲井真弘多前知事の埋め立て承認に法的瑕疵(かし)はないという立場だ。
普天間飛行場の危険性除去や抑止力維持の必要性、さらに日米間の信頼関係維持という国防、外交上の公益性を強調。辺野古沿岸は滑走路を含め必要な地積が確保でき、既存の米軍キャンプ・シュワブを活用できることなどから「最も適切で現実性のある場所」だと主張。公有水面埋め立て法が求める「国土利用上、適切かつ合理的」という要件を満たすと結論づけた。また環境保全にも十分配慮しており、翁長知事の承認取り消しは違法だと訴える。
一方、県は、翁長知事が「埋め立て承認は法の要件を満たしていない」とした判断に裁量の逸脱や乱用は認められないと主張している。
過去に例がないほど大規模な辺野古の埋め立て事業は、世界でも有数の代替性がない自然環境を有する海を消失させる上、恒久的施設が造られることで基地の過重負担が将来にわたり固定化されると主張。翁長知事は慎重な検討を経て、具体的な根拠を持ち「埋め立て承認に必要な要件を欠いている」と判断したもので、承認取り消しに不合理な点はないとしている。
<是正指示の適否>国・対米関係に亀裂の恐れ/県・国交相関与は権限逸脱
国は、翁長知事の承認取り消しは法令の規定に違反しており、是正指示は適法だと主張する。その理由として、埋め立て承認に瑕疵(かし)がないのに取り消したこと、仮に何らかの瑕疵があったとしても、取り消しで生じる不利益は承認を維持することで生じる不利益を上回るため取り消しが制限されることを挙げた。
承認を取り消せば普天間飛行場の危険性除去ができなくなり、日米関係に亀裂が入るなど外務、防衛上著しい不利益が生じる。一方、承認を維持しても辺野古周辺の騒音や環境への影響は軽微で、不利益は極めて小さい-と主張している。
これに対し県は、防衛や外交政策の実現を目的に国交相が知事に指示をすることは権限の逸脱だと主張。是正指示は違法な関与で認められないと反論した。
公有水面埋め立て承認などの法定受託事務は、地方公共団体の行政執行権の問題で国交相が上級庁という立場ではないと指摘。それにもかかわらず国が関与できるなら、国と地方は対等な関係とはいえず「地方自治の本旨に反する」と訴えた。翁長知事は意見陳述で「すべてが国の意向で決められるようになれば地方自治は死に、日本の未来に禍根を残す」と述べた。
<取り消し制限法理>国・著しい不利益には制限/県・瑕疵は取り消しが原則
行政処分のうち、国民に権利や利益を与える授益的処分の取り消しは制限される場合がある。国は「埋め立て承認が授益的処分であることは明か」と指摘。承認判断に瑕疵(かし)があったとしても、それを放置した場合に生じる不利益は承認を取り消した場合に生じる不利益より小さく、「取り消しは許されない」と主張している。
具体的には、承認を取り消せば普天間飛行場の危険性除去ができなくなる上、外交、防衛上に著しい不利益が生じるほか、これまで支払われた埋め立て工事の契約金約577億円が無駄になるなど「膨大な不利益が生じる」と強調する。
一方、県は「瑕疵がある行政行為は原則として取り消されるべきだ」と主張。取り消し制限は行政に依存せざるを得ない私人の信頼利益保護のための法理で、国が行政行為に関与する根拠にならないと反論した。
国が主張する国際的信頼関係の低下や普天間飛行の危険性除去が振り出しに戻ることは、もともと瑕疵がない行政処分(埋め立て不承認)がされれば甘受しなければならない不利益であり、瑕疵がある行政処分によって得られた権利や利益ではないと指摘。「取り消しを制限するべき事情は存在しない」と主張した。
辺野古違法確認訴訟 国と県の主張