■心臓揺する音「こたえる」

 【宜野湾】「もう4年か…、すっかり慣らされてしまいましたね」。宜野湾市上大謝名自治会の大城ちえ子会長はため息をついた。

 配備前に飛んでいたCH46ヘリは何度も基地周辺で旋回を繰り返したが、オスプレイはこうした飛び方はほとんどしない。その分、全体の飛行回数は一定程度減っただろうとは感じる。

 だが4年前、オスプレイを見て感じた「不安定な飛び方」への不安は、最近のハリアー墜落のようなことが起こるたび思い出される。「それと、心臓が揺すられるようなあの騒音。あれが一番こたえる」。そう言って胸をかきむしった。

■「一番うるさい」子ら体感

 【東】新たなヘリパッド建設で、オスプレイの騒音激化が懸念される東村。琉球大学の渡嘉敷健准教授が4月、村内小中学校の児童・生徒94人に行ったアンケートでは77人が「他の航空機よりオスプレイがうるさい」と回答した。

 「家の中にいると、ガラス窓の振動がすごいことに気付いた」。高江の仲嶺久美子区長は、オスプレイが既存のヘリパッドに初飛来した当時をこう振り返る。

 「今年は深夜訓練がひどく、四つのヘリパッドが造られたら騒音増が確実。オスプレイが当たり前のように飛ぶことがあってほしくない」と切に願った。

■深夜飛行 基地全廃訴える

 【宜野座】「何度抗議しても、無視されてばからしくなるくらい」。宜野座村城原区の崎濱秀正区長は昨年の区長就任以降3回、前区長からだと計12回、沖縄防衛局に騒音被害で抗議した。区の2015年度の騒音測定回数(60デシベル以上)が8098回で、14年度から約1・6倍に増えた。

 キャンプ・ハンセンのヘリパッドから約380メートルの泉忠信さん(86)宅は7月、オスプレイ4機が真上を午後10時以降も飛行し、100デシベル以上を5回計測。「日本が税金を払って米軍が被害をまき散らしている。こんなばかな話はない」と憤り、全基地撤去を訴える。

■騒音被害 北部も深刻 渡嘉敷健琉大准教授(環境工学・騒音)

 オスプレイの騒音被害は普天間飛行場の周辺にとどまらず、本島北部の各地に及び、4年でその深刻な状況が浮かび上がってきた。

 ところが安倍晋三首相は、29日の参院本会議で「北部訓練場周辺の騒音は政府として継続的な把握に努めており、環境基準を満足している」と答弁した。

 高江では夜間の騒音も確認されている。アンケートでは、騒音による悪影響も表れた。未開拓の領域だが、低周波音による人体への影響も懸念される。特に子どもや病人など、弱い人たちが心配だ。

 にもかかわらず「何の問題もない」と言わんばかりの姿勢は無責任だ。発言の根拠が疑われる。ヘリモードでどこへでも飛ぶオスプレイの騒音は、固定された測定機だけでは測れない。政府は住民の声に耳を傾けながら真剣に対策を考えてほしい。(談)