原作のファンはかなり多いと思う。以前、女優さんだったか歌手だったかもラジオで、一番好きな小説だと話しているのを聞いた覚えがある。わたくしも宇江佐真理の作品はほとんどを愛読している。江戸下町の世話物をベースにミステリを配合させた作品に旨味がある作家だと思う。宮部みゆきの時代物に近く、もう少し色香が匂うかと言った作品は、大人の読み物として貴重である。
そんな傑作原作を映像化するのは、原作ファンの期待を裏切らず、映画独自の見せ場も作らねばならない大変な作業だと思う。廣木監督は前作「余命一ヶ月の花嫁」でドキュメンタリーを劇映画化する事に成功し、「きみの友だち」はあの重松清原作を超える作品に仕上げた人である。当然、大いに期待したのである。
脚本が男女二人で書かれているためなのか、主題が散漫になっている。殿と雷(遊)の結ばれる事の無い深い愛情と別離だけに集約されるべきところを、親子(育て・生み)の情を分かり辛くからませてしまった。焼け残った山小屋で一夜を過ごした後に、育ての親がらみのチャンバラが、せっかく二人に感情移入し始めた観客を醒めさせてしまった。このリズム崩壊が雷(遊)の馬上から殿を呼び続けるあのシーンまでつなぐ事を難しくさせた。雷(遊)の感情と行動が分断されてしまっているため素直に涙する事が出来ない。
いつもの事ながら蒼井優は上手い。岡田将生はコケッコーの頃と比べると随分大きくなった。小出恵介、柄本明の脇役ぶりは日本映画の宝である。
そんな傑作原作を映像化するのは、原作ファンの期待を裏切らず、映画独自の見せ場も作らねばならない大変な作業だと思う。廣木監督は前作「余命一ヶ月の花嫁」でドキュメンタリーを劇映画化する事に成功し、「きみの友だち」はあの重松清原作を超える作品に仕上げた人である。当然、大いに期待したのである。
脚本が男女二人で書かれているためなのか、主題が散漫になっている。殿と雷(遊)の結ばれる事の無い深い愛情と別離だけに集約されるべきところを、親子(育て・生み)の情を分かり辛くからませてしまった。焼け残った山小屋で一夜を過ごした後に、育ての親がらみのチャンバラが、せっかく二人に感情移入し始めた観客を醒めさせてしまった。このリズム崩壊が雷(遊)の馬上から殿を呼び続けるあのシーンまでつなぐ事を難しくさせた。雷(遊)の感情と行動が分断されてしまっているため素直に涙する事が出来ない。
いつもの事ながら蒼井優は上手い。岡田将生はコケッコーの頃と比べると随分大きくなった。小出恵介、柄本明の脇役ぶりは日本映画の宝である。