映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

2014 掟破りのベストテン

2015-01-07 15:51:01 | 映画ベストテン
 今年もベストテンの季節です。
それなのに、洋邦合わせてやっと10本位しか観てませんので、今年はとうとう合せ技10本ということで堪忍していただきましょう。掟破りではありますが、お許しください。

①インターステラー
文句無く感激感涙の作品でした。2014年の締めくくりをこの映画で終われば幸せだったのに、よせば良いのに「寄生獣」を観てしまったのでなんとなく晴れ晴れしい気持ちで終われませんでした。
ゼメキスの「コンタクト」、キューブリックの「2001年宇宙の旅」が好きなら間違いありません。重力場とかワームホールなぞと聞けば黙っていられない御仁にもぴったり。そして何より、娘をもつ父親、父との距離を感じている娘は必ず観るべき傑作です。キネ旬洋画6位。

②紙の月
「桐島、部活・・・」でびっくりさせていただきましたが、この作品の完成度はそれ以上に高いものでした。よく言われているように、宮沢りえ、小林聡美、大島優子のアンサンブルが上手く機能していたと思います。りえ&聡美の演技は周知されていますが、ケレン味ある技相撲と堂々たる横綱相撲を堪能できる幸せはそんなに多くは無いでしょう。
優子ちゃんのハスキーな声は、ささくれ立った女の職場を象徴しているようで良かった。敦っちゃんといい、AKB恐るべし。キネ旬邦画3位。

③小さいおうち
原作が本当に面白いのです。でもそれ以上に脚本は素晴らしかった。
この映画も山田洋次あってですが、やはり、二人の女優が圧倒的に素晴らしかった。
松たか子は「ヴィヲンの妻」「告白」で見せた女の業の深さを分かりやすく出せる女優として今や日本一だろうと思う。収穫はなんといっても黒木華。原作通りの女中さんでした。昭和にしか生息できないような昭和顔もわたくしには好ましく感じました。キネ旬邦画6位。

④ゴーンガール
わたくしの奥様が大のお気に入りなので、もう一度一緒に観ようよと誘ったのですが、夫婦で観ないほうが良いと思うよとのことで一人で観ました。感想として、仲良し夫婦は二人で観て大いに笑うべし。
確かに身につまされるような後ろ暗い夫婦や、これから結婚しようと思っているカップルにはお勧めできませんが、夫婦の本質を良質なホラーコメディとして描いていると思います。

⑤蜩ノ記
原作に無い躍動感を感じることが出来たのは映画の特権だと思います。
役所広司にうってつけの役どころであり、その魅力を遺憾なく発揮できています。脇を固めている役者も過不足無く映画になじんでおりました。小泉監督の静かな語り口は「雨あがる」の頃のようにしっとりとしており、日本映画のお手本のようでした。キネ旬邦画10位。

⑥アナと雪の女王
久し振りに満員の映画館を体験した作品です。
幼少のお嬢ちゃんたちに挟まれて観た事も良い思い出となりました。
ディズニーアニメを映画館で観ることなどこれからはそうそう無いと思います。いい歳こいたオジサンが一人で観に行ったように、社会的現象になった本作品の意義は大きいのです。

⑦舞妓はレディ
とても期待して待っていた周防監督謹製のコメディ。「shall we ダンス?」以来のコメディです。題材も舞妓さんになるためのサクセスストーリーっぽいじゃありませんか。バッコンバッコン笑わせてくれると期待しますよね。
う~ん。ダメじゃないけど、欲しかったものとちょっと違ったような残念無念。「マイフェアレディ」を知らなきゃ楽しめない作りも減点ポイントかな。次、頑張りましょう。

⑧渇き
これまた期待の中島監督作品。
う~ん。ストーリーもリズムも荒れ放題で、中島作品の茶目っ気を楽しむことが出来ませんでした。毒気があるのが魅力ではありますが、最初から最後まで毒々しいと何が毒なのかが分からなくなってしまいます。主演の女の子が如何にもの温度感じさせない女子高生を好演しておりました。

⑨思い出のマーニー
宮崎・高畑が一線から退いたジブリを担う人材として期待されている監督だそうで、スタッフも両巨頭の時とそん色ない丁寧な仕事ぶりでした。「アリエッティ」も瑞々しい作品でありましたから、監督の持ち味なのでしょう。少女から大人へ移ろう時間を上手く捉えていると思いますが、今後、違う題材をどのように料理できるか観てみたいと思いました。最後に明かされたマーニーとの関係が素敵なファンタジーになりました。

⑩ゴジラ
ハリウッド版「ゴジラ」には懲り懲りしていた筈の日本人ですが、渡辺謙がやったなら観てもいいかなと。
結果、大変楽しめました。全く期待していなかった分、得した気分です。
我らがゴジラが敵の怪獣をぶった切るシーン、なんと言う恍惚感でしょう。わたくしたちの世代は、モノクロのおっかないゴジラが正義の味方になってしまいしぇーさえしてしまうようになってからの付き合いなので、一入です。

次点wood job 神去なあなあ日常
原作大好きなので、矢口監督にはちょっぴり失望しました。


本当の夫婦のありかた

2015-01-07 15:41:44 | 新作映画
 2015年正月
「ゴーンガール」を観ました。

家の奥様がかなり褒めますので、あまり監督のフィンチャーは好きではないのですが、お正月一発目の鑑賞です。
どうしても「セブン」の猟奇的な暗さが頭をよぎります。お正月から陰惨な死体を見なきゃならないのかなと思っていたのですが、カラリと裏切られました。

世の寸評ではどれも女の怖さを喧伝しておりますが、わたくしはそうは思えませんでした。
女と言うより、妻(嫁)の怖さは恐怖ではなく不可思議な生態にあると思うのです。突き詰めると、何を考えどうしてこんな男(夫である自分)と結婚して、未だかつてその生活を維持しているのか?まあ、わたくども男衆も同じことが言えるのでしょうが、男の場合は単純で分かりやすいと思うのですが・・・。
不可思議だからこそ魅力的じゃありませんか?怖さよりそこが勝っているうちは愛と言う便利な言葉に置き換えることができますし。本当の夫婦なんて、虚像との馴れ合いです。それこそ、本当の夫婦のありかたではありませんか。

わたくしにはとても良質なホラーコメディとして楽しめました。
ブロンド奥様は怖い。けどそれ以上分からないからこそ魅力的で、わたくしなどははっきり申し上げて好きです。
家に帰って、わたくしの奥様にその事を申し上げると、「そうだと思ったよ。ブロンド奥様わたしに似てるものね」と、のたまわれました。ああ、怖い。


娘と親父 事象の地平

2015-01-07 15:39:22 | 新作映画
 2014年暮れ
「インターステラー」を観ました。

二組の親娘が描かれます。
それぞれに信じあい目指すものも考えることも一緒なのに、いつの世も父と娘は微妙な距離ですれ違ってしまいます。
わたくしも娘がおりまして、二十四歳になりました。嫁いだわけではないのですが、大学生になってからこのところずっと彼のアパートで同棲状態なので年間会うのも2~3時間も無いかもしれません。
何を考えどのように生きてゆこうとしているのかも全く分かりません。
それでも、父は娘が可愛い。
わたくしはその他の父親に比べればかなり子離れしていると思いますけど、それでもたまには娘の顔を見たいなぁと思うものです。

久し振りにハリウッドメジャー作品で感激感涙いたしました。
SF映画のふりをしていますが、ドップリ家族映画ですね。
暗い色調ばかりがイメージにあるノーラン監督にも、こんなにも心優しい淡い暖か味があったのだと見直しました。
ここ数年に観た映画では一番の作品です。
三時間弱でこんなにも幸せにしていただける娯楽は素晴らしいですね。
父と娘 心は決して交わることの無い事象の地平