退屈な映画だった。
まさかあの周防監督作品でそんな風に感じてしまうとは思いもよらなかった。かつての「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」というコメディの大傑作を世に放った監督の作品とは思えない。前作のミュージカルも失敗だったから、もうコメディは無理なのかもしれないな。そうかといって「終の信託」みたいなシリアスドラマばっかり作られても観に行きたくないし。
古き日本映画を愛する周防監督らしい題材の選び方だと思う。今の若い人々の食指を動かすとは思えないが、我々のような映画好きにはピントが合っているはずだったのだが。役者は周防常連組をはじめ、主役の成田凌やヒロイン黒島結菜もよく頑張っていた。それなのにありきたりな物語と笑えないドタバタ劇の結末に観ている方は白けてしまう。絶妙の間とウィットある会話が身上だった周防作品からその武器をこそげ落としてしまえば、ただの古臭い昔話にしかならない。
好きな監督だからこそ苦言を申し上げれば、5年も新作の間をあけたなら面白い映画を撮って欲しい。面白ければその空いた時間は苦にならないどころか、愛しい時間に変化するのだから。周防監督のそしてアルタミラピクチャーの再起を真剣に願う。