「リバーサルオーケストラ」
清水友佳子の単独脚本なので少々心配していたのだけど、最後までしっかり走りきれたと思う。特に中盤の各挿話はオーケストラのまとまりも相まって感動的なものが多かった
やっぱり集団音楽ものは鉄板のコンテンツなんだと実感した。主要なキャラクターに沿ったエピソードを散りばめる事で半分以上の尺を確保できるし、みんなの力を合わせる事でだんだん音が鳴って行くところなんか、映像と音響のダブル効果が狙える。医療もの刑事物にも通づる集団劇の良いとこ取り
門脇麦じゃなくともこの役はできたと思うけど、彼女も普通の女の子がやれるんじゃないかと変なところに感心してしまった
あまり期待していなかったけど、平均点以上の出来に十分楽しむことができた
「100万回言えばよかった」
井上真央もしぶとく長い間女優やっているなぁ
彼女の良いところは駆け出しの頃から変わらない。その一生懸命な生き方を共感をもって暑苦しくなく伝えてくれる真摯さは、他の俳優ではなかなか体現することはできない
安達奈緒子の作品としては見劣りがしてしまったけれど、幽霊モノのお約束もそれなりのサスペンスも卒なく按分されていて、最後はきっちりラブストーリーとして綺麗にまとめたところは流石
久し振りに松山ケンイチを観たけど、上手くて味のある役者だと思い出させてくれた
「ブラッシュアップ ライフ」
バカリズムを毛嫌いしていたわけじゃないけど、芸人なのか役者なのか劇作家なのか掴み所がなくて、単なる器用貧乏芸人風情と下に見ていた。元々あまりお笑いとかに不案内であるし、コントを見るならしっかりしたドラマや映画の方が格上だとの思いもある
このドラマを観て考え方が変わった。才能ある劇作家だったんだ
何度も生まれ変わり同じ人間の人生をブラッシュアップしていくお話なんて、今までもありそうでそうは無かったな。2度ならず5回目6回目の輪廻転生している人が本当にいたとするなら、きっとその人は社会的に必要とされている偉人とかになっていたり、天才的な学者とか芸術家なのかもしれない。そんな妄想さえさせてしまうほどこのドラマは良くできていた
わたくしが転生するとしても徳を積んでいるわけじゃないから人間は無理だろうな。できれば鳥がいいな。渡り鳥は大変そうだから清流に住む留鳥が良い。もし2回目の人生やり直すなら失った四人の友達に寄り添いたい。二人は病気だったから抗えない運命なのかもしれないが、もう二人は事故死だったから100%未然に防ぐことができる。もしは無いけれど、そんなことも考えさせてくれる
また、主要な安藤さくら、夏帆、木南晴夏、水川あさみは勿論、脇役ちょい役で登場する方たちの豪華で癖があって上手こと上手いこと。志田未来、松坂桃李、黒木華、染谷将太、江口のりこ、三浦透子・・・最終話にワンポイントで登場させた浅野忠信には大笑いさせてもらった
間違いなくこの冬一番面白かったドラマとして記憶に残る
「夕暮れに、手をつなぐ」
北川悦吏子にかつての煌めきを期待しているわけじゃ無いけど、このドラマも散漫な印象を残したまま終わってしまった。もう開き直ってド直球の恋愛ドラマをベタにやってみるのもありなんじゃないかな
広瀬すずの魅力を掴んでいるのに出し切れていないし、周囲の取り扱いも皆んな半端で勿体無い
ヨルシカの楽曲と余韻ある題名が優れていただけに残念だった
今後は多分北川作品を選んで観ることは無いだろうな
「舞いあがれ」
正統派朝ドラって感じを最後まで貫いた
航空学校まで行ってパイロットになったのだから、飛行機乗りのお話だと思っていたのに、中小企業の町工場で奮闘する女起業家の物語になった。そこが正統派朝ドラらしいので、終わってみればしっくりと馴染んだ良質なホームドラマとして記憶に残る
福原遥の笑顔は日本の朝にピッタリ合う事も成功の要因だったと思う。当初無名の脚本家がリレー方式で物語を紡いでいくと聞いていたので不安だったけど、杞憂に終わった。最後にきて夫の創作へのスランプとかお兄ちゃんの結婚とか空飛ぶ車への挑戦とか詰め込みすぎて、コロナ社会の描かれ方に物足りなさを感じたけれど、それを深掘りし過ぎると重たい話になっちゃうからあの程度がいいのかもな
五島の暮らしをもう少し観たかったというのもあるけど、美しい島に町工場はないか
back numberの主題歌も良かった
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