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映画と渓流釣り

底知れぬ韓国映画「非常宣言」

今年始まって十日も経ってないのに、早くもNo.1?

そんな風に思わせてくれるほどの面白さで、2時間超を思い切り楽しませてくれた
こんな映画、もう日本では撮れないんだろうかと、映画館を出たあとチョッピリ憂鬱な気分になるほどの衝撃でもあったんだ。なんとなくフィルターの掛かった安っぽい画像で空港内で蠢く人々が映し出された頃は、チープな作りの虚仮威し映画なのかと後悔していたけど、飛行機が空に飛び立ってからの緊張感はハリウッド映画でさえかなうことのない畳み掛けだった

60年前、欧米人が黒澤映画に感じたダイナミズムってこんな興奮だったんだろうか

全世界がコロナ過の今、ウィルステロの脅威を高高度で飛行する航空機内で描くだけではなく、韓国が抱える外交的なジレンマやどこの国にもあるだろう一市民の生命と全国民の利益の対比が思い切りエンターテイメントに活写されている
自衛隊が威嚇射撃でも実弾撃ってたのは凄い描写だった
ただし、オリジナリティがあるかと言えばそんなことは無く、アメリカ映画の傑作シリーズ大空港(エアポート)物がベースだし、少し前に公開された韓国映画「新感染」(元ネタのプロットは新幹線大爆破だしな)を空の上でやったに過ぎない
それでもこれだけ楽しませてくれれば十分で、イオンシネマ1,100円じゃ申し訳ない気がする

アメリカ人がこの手のドラマ作ると決まって超人的なヒーローヒロインが登場してきて、信じて前進する者には必ず明るい未来がくる!みたいな・・・、運命は努力次第で良い方向に覆せるんだ!的な?
自分達が地上に降りられれば、その事によって感染リスクを被る人がいることなんて知ったこっちゃない!ザ・アメリカ‼︎
映画はエンタメだから、最後は皆助かってメデタシメデタシで良いんだけれど、そこに行きつくまでの傲慢さがいつも我慢できなかった。そこいくと、同じような感覚を共有している韓国人が描いた、諦めと悟り(自分達が犠牲になっても地上にいる家族や友人を守りたいから着陸しないという選択)には心底感銘した
あのシーンはかつて日航ジャンボ機墜落事故の際、家族に宛てた遺書に通ずる痛ましさと尊厳を感じて涙が抑えられなかった

欲を言えば、犯人の描かれ方にもう少し工夫が有ればなと思う。なんだかよく分からない外資系企業の悪巧みが犯人を狂わせたみたいなのは余りにも使い回し感があり頂けない。犯人の人物像や犯行の特異性が、ゴジの傑作「太陽を盗んだ男」の原爆をひとり作り宣戦布告する犯人みたいであればまた違った味わいのある映画になったと思う

またもやソン・ガンホか、そして、イ・ビョンホンまで付いてくるお年玉興行に拍手
国交大臣やってた女優さん、カッコよかった


朝7時45分からのスタートに合わせて汽車道を歩く
朝日に映えるみなとみらいが綺麗


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