女子高生と老人の組み合わせが絶妙な塩梅であるから、このお話は物語として優れているのだけれど、決して取り合わせが平凡であろうとも好きな人(気の合う人)と好きな事を一緒にやるのは何たって楽しい
同じことを何度も繰り返し行い研磨してゆく喜びもあるけれど、少し違った角度で気付きを与えてくれる刺激は一人では得られない。分かり合える人から示唆してもらえたら素直に納得できるだろうし、お互い一歩前進出来そうでワクワクする。この歳になるとそんな出会いを希求するようになってきた
「阪急電車」の共演から10年経っているのだそうだ
本当に10年なんてあっという間だ。愛菜ちゃんは鉄壁の少女で、あどけないという言葉はこの子のためにあるのだと日本国中の大人は思っていたのに、いつの間にか複雑な想いを抱える高校生になっている
宮本信子も多少老齢化してはいるが、二人の変化した差異の大きさにこの10年を感じさせてはくれる。当たり前だけど人は生きていれば成長し年老いてゆくものなんだ。自分のこの10年はどうだったかな?そんなことをチラッと考えた
老女が涼みついでに立ち寄った書店で手にしたのは、美しい男の子二人が表紙を飾る漫画本。そんな導入部からBL好きな女子高生と老女の友情が生まれる
誰にも打ち明けられない鬱屈した想いを、級友たちはサラリと飛び越えて行くように思え疎外感を感じている。女子高生は老女の家で好きな事を恐る恐るだけど正直に話し出す。老女にはもう怖いものなどないし、自分の知らなかった世界に驚きながらも楽しんで受け入れてゆく
あの阪急電車に乗ってた二人の続きが古い日本家屋の縁側にあるようで、なんだか幸せな気持ちになってしまう
二人が敬愛する漫画家との顛末も洒落てて微笑ましかった
宮本信子の貫禄ある演技がともすればファンタジーっぽくなってしまうシーンを感動的にしてくれている。先日観た倍賞千恵子もそうだけど、日本には素晴らしい役者が沢山いるし、お子様向けのテレビドラマでは無理かもしれないから、映画でその力を発揮してほしい
古川琴音の漫画家も可愛らしくてOK
上映している小屋が少ないためか、席はほぼ埋まっていた。佳作としてひっそりと観てもらうのもありだけど、戦闘機映画に足を運ぶ人の一割でもこちらを振り向いてくれたならなぁと思いながら、友と飲む約束の時間が迫る野毛の街へと急ぐ
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