映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

敵は誰か、そして何処から来るのか

2025-01-24 02:49:00 | 新作映画
老境を迎え、古い日本家屋にひとり住むフランス文学の第一人者の元大学教授
朝目覚めるとご飯を炊き、鮭の塩焼きで朝食。昼はお蕎麦を啜り、夕飯はちょっと凝った料理に挑戦してみたり

何だか、定年退職後の自分を見てるようで悲しかった
死に向かう毎日を淡々と起伏なく過ごす事が老後なのかも知れないけど、達観して迎えることができるだろうか?
とても不安になる

前半部分はパーフェクトデイズのインテリ版かと思って観ていたのに、幻想と現実があやふやになる後半は息苦しく辛かった

吉田大八の世界というより、筒井康隆の老いが生んだ焦りなのかも
どことなくフェリーニの81/2に通ずる作家の苦悩までも感じた
黒沢清の作品なら納得するけど、吉田監督の良さが活かされたとは思えなかった

モノクロ映像は美しかったけどね

敵とは死を比喩した表現なのか
教え子に欲望を覚えたり、仏文学生の小娘に大金を巻き上げられたりと世俗性のかたまりの反動が他界した妻の幻影を生んでいるのか

理解する必要は無いのだろうけど、なんか喉に小骨が刺さったようで釈然としない

長塚京三がまだ役者として現役なのは凄いこと