映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

新旧 オリエント急行殺人事件を観る

2017-12-10 14:42:40 | 新作映画
殺人事件で正月を迎えるのもどうかと思うが、全世界で一番有名かもしれないミステリーだから、あんまり関係ないか。わたくしが子供の頃なら基幹映画館にはド派手なイラスト看板が立ち並んだことだろう。「オリエント急行殺人事件」の様なオールスターキャストの華やかな映画は、GWや盆暮れ正月にはもってこいの企画だった。テレビの宣伝もこれでもかってほどの勢いで、年に1~2本映画館に足を運ぶ大多数に訴求していた。洋画全盛期にはそんな映画が似合っていた。そして、ミラノ座やスカラ座スバル座なんて言う大型映画館もその存在価値をアピールしていた。シネコンばかりになってしまい、前述の手書き看板もそうだけど情緒みたいなものは無くなった。

当然、原作も何度も読んでいるし、ルメット版も観ている。
物語が完成され過ぎているから解釈を変えることもできない。見世物にするには安心して料理できるけど、味は想像を超えることはできない。ブラナー版は前(イスタンブールに行くまで)に尺をとっていたのと、後(次の事件はナイル川らしい)を予告して終わった。スターウォーズの新しい女性主人公が家庭教師役だから、相手役を黒人にしたのかなんて考えたのは穿ち過ぎかな。
想像したくらいの塩加減でした。で、良いのかと思う。この映画の感想は。

夜、奥様と話ししてたらどうしてもルメット版が観たくなってしまい、二人で蔦屋まで借りに行きこちらも堪能させてもらった。うまさからしてもルメット版に軍配が上がるのは仕方ない。ジャクリーン・ビセットが一番美しい頃なので、彼女を拝むだけでも充分価値ありと思った。





IT(イット)の少年たち

2017-12-03 15:51:04 | 新作映画
スティーブン・キング原作だからそうなるのか、往年の名作「スタンドバイミー」に似たノスタルジーも感じる作品。わたくしとしては、少年たちの揺らめきながらの成長譚を観たかったのだけれど、所々お化け屋敷の仕掛けが繰り返されてしまいちょっと残念。

少年たちに女の子が一人混ざるとこんな風になるんだろうと、もう二度と味わえないけれどヒリヒリする焦燥感を覚えながら観ていた。あの夏が終わってしまうと、彼女とは会えない。子供には飛び越えられない距離とか時間とかがあって、仕方ないけど残酷でそれでいて美しい。

最初にピエロの餌食になっちゃった弟君、可哀想だったな。大好きなお兄ちゃんが探しに来てくれて嬉しかっただろう。本当はずっと一緒に居たかったのだろうけどさ。