大きな台風騒動の中、時間的な制約もあり吹替え版を鑑賞。
紛れも無いドヌーブなのに宮本信子の声が気になってしまい、最初のうちは吹替え版で観たことを後悔した。慣れてしまえばそんなものかと思うようになり、是枝監督も字幕では伝え切れなかったニュアンスが吹替えにすることでオリジナル脚本に近くなったといってる。
ただ、機会があればフランス語版も観たいものだ。
率直な感想としてはベルイマンの「秋のソナタ」をう~んと軽くした母子和解物語だな。是枝監督の家族に向けた温かな眼差しは持ち味だから良いとしても、もう少しシニカルな目線もあったほうが面白かったと思う。前夫を亀に変えた魔法使いを娘にも当て嵌められたら、可笑しみのなかにも皮肉があって二人の関係に深さが加わったと思う。
それにしてもカトリーヌ・ドヌーブだ。
それはもう既におばあちゃんだけど、美しさは相変わらず。
随分太ったし、腕も胸元もシミだらけだけどその分大女優然とした風格は増した。
大女優なのにわたくしが観ている作品は申し訳ないほど少ない。代表作「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」「昼顔」「終電車」以降は覚えてもいない。ドヌーブの可憐で清楚な美しさはシェルブールの駅にたたずむ金髪の女の子のままでいいのかもしれない。