も少しクラシックに造詣深ければ
恩田陸は読み辛い小説と神がかった傑作とが混在する作家だと思う。
「夜のピクニック」で本屋大賞に選ばれた時は、たまたま当たったんだと思っていたけど、この「蜜蜂と遠雷」を読んで認識が変わった。本当に力量ある作家なんだ。
そんな傑作小説をベースに映画化するのは勇気のいることだ。ピアノコンクールに集う若者たちを四人の演者は原作通りに具象化している。分厚い原作本の大半がコンクール予選と本選の半月間の出来事だから、映画もピアノ演奏シーンが多く映される。本物がどんなものか知らないけど、リアルな迫力は伝わった。松岡茉優のオーケストラと合奏する本選シーンは圧巻だ。
それなのに、映画の感想としては薄っぺらなドラマを2時間観たことしか残らなかった。原作の読後感が重厚だっただけに、その差は埋めがたいものがある。原作で語られる四人のバッグボーンが描き切れなかったのが要因だが、やり過ぎると本編がくどくなるし、二人に絞り濃くする手もあったかもだが、違う背景の四人だからこそドラマになるのであるから難しいところだ。
四人の若者が主人公だけど、審査委員長を演じた斉藤由貴の存在感が際立っており、その目線で作るのもアリだったかも知れないと思ったりもする。
恩田陸は読み辛い小説と神がかった傑作とが混在する作家だと思う。
「夜のピクニック」で本屋大賞に選ばれた時は、たまたま当たったんだと思っていたけど、この「蜜蜂と遠雷」を読んで認識が変わった。本当に力量ある作家なんだ。
そんな傑作小説をベースに映画化するのは勇気のいることだ。ピアノコンクールに集う若者たちを四人の演者は原作通りに具象化している。分厚い原作本の大半がコンクール予選と本選の半月間の出来事だから、映画もピアノ演奏シーンが多く映される。本物がどんなものか知らないけど、リアルな迫力は伝わった。松岡茉優のオーケストラと合奏する本選シーンは圧巻だ。
それなのに、映画の感想としては薄っぺらなドラマを2時間観たことしか残らなかった。原作の読後感が重厚だっただけに、その差は埋めがたいものがある。原作で語られる四人のバッグボーンが描き切れなかったのが要因だが、やり過ぎると本編がくどくなるし、二人に絞り濃くする手もあったかもだが、違う背景の四人だからこそドラマになるのであるから難しいところだ。
四人の若者が主人公だけど、審査委員長を演じた斉藤由貴の存在感が際立っており、その目線で作るのもアリだったかも知れないと思ったりもする。