『流転の海』第6部です。
昭和20年、大阪の瓦礫の中から始まった物語も昭和34年まで来ました。
第5部で、作者の年齢が主人公の年齢を追い越して還暦を迎えています。
第2部より第3部、第3部より第4部と作者の作家としての成熟具合が増してきたと感じながら読んでいましたが、第6部ではさらに円熟味が増し、キャラクターの奥深さにうならされました。
宿敵の海老原の死に主人公熊吾は何を思うのか、そして海老原の最期は?
熊吾に金を貸し付ける高利貸しの条件とその真意など、複雑な人間模様に感動を覚えます。
戦後の復興期を描いた日本の文学作品の傑作として後世に残る仕上がりだと確信しました。