「千夜一夜物語」の「アラジンと魔法のランプ」を原案に、自分の居場所を探す貧しい青年アラジンと、自由に憧れる王女ジャスミン、そしてランプの魔人ジー二―の運命を描いたディズニーのアニメーション映画『アラジン』(92)が27年ぶりに実写映画化された。アラジン役にメナ・マスード、ジャスミン役にナオミ・スコット。
興味は、実写化した甲斐があるものに仕上がっているのか? アクション系のガイ・リッチー監督の手腕は? ジーニー役をアニメ版のロビン・ウィリアムズに代わってウィル・スミスが演じたが…といったところにあった。
結果、CGを多用した派手なアクションと魔術の描写、エキゾチックなロケーションにリッチー監督らしさが感じられてなかなか面白く仕上がっていた。また、本来はラッパーでもあるスミスが歌う「フレンド・ライク・ミー」は、さすがに乗りがいい。というよりも、アニメ版のウィリアムズが目立ち過ぎて、主役のアラジンとジャスミンがすっかりかすんでいたのと同様に、今回もスミスの独壇場になっていた。
アラン・メンケン作曲の挿入歌の配列は「ア・ホール・ニュー・ワールド」をはじめ、オリジナルと変わりはないが、今回はジャスミン(スコット)が歌う新曲「スピーチレス」が追加された。
そして「王は男でなくともよい」「女性にとって結婚が最良の方法ではない」というニュアンスを含んだこの曲にこそ、オリジナルのアニメ版から27年という歳月を経た故の、女性の生き方の変化が象徴されている。いわばこの曲が今回の核なのだ。