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今週は東北・関東大震災の影響を考慮した内容にしております。
特に関西エリア在住の学生の皆さんへ
松下電器(現:パナソニック)の話を紹介します。
関西では有名かもしれませんが、改めて考えてみたいと思います。
◆昭和9年、室戸台風での得意先支援
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昭和九年九月に室戸台風がきて、これは関西全域がやられました。当時の記録を調べますと、死者が三千人で負傷者が一万五千人出たそうです。
その日の晩に、幹部が全員本社に呼ばれました。
「松下もこれだけ損害を蒙った。ところが松下のお得意先、あるいは取引先もやはり損害を蒙っているに違いない。だから幹部は手分けして、これから朝にかけて見舞いに行け」
ひどいところは船で行かないといけません。もう浸水していますから、みな屋根の上におるわけです。そこへ、懐中電灯を持って行きまして、「松下からお見舞いにきました」と言って、現金と手拭やら石けんやらかん詰やらパンやらを、お渡ししました。
私はその時抱きつかれて泣かれたことを覚えています。
「おー、おー」と喜んでですね。
「オレはこうなっているが、他人様はどうなっているだろう」というように、第三者のこと、例えば得意先とか、仕入れ先とか、取引先とかいうものを考えて、そして見舞いに行かせた。
松下が大きくなっていく一つの基礎というものは、向こう三軒両隣に対する、しみじみとした思いやりとでも言いましょうか、そういうものだったのではないでしょうか。
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後藤誠一「全力投球の日々を」(松下政経塾講話録から)PHP文庫
◆中小企業の真価は人を120%生かす
就職ランキング人気企業のパナソニックの原点は中小企業です。
昭和九年の時点では、まだそういう企業です。
当時の社員(後藤誠一)が感じた、社長の松下幸之助の判断は
「おやっさんのものの考え方は違うなあ」
「われわれは『自分とこの工場をできるだけ早く建て直しせないけない』ということばかり没頭している。しかし、あの方は、それも大事だが、世間に目を向けてそこに大きな一つのお見舞いをする」(講話録から)
こういうことに関連して
松下幸之助自身の言葉を紹介しますね。
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世間ではとかく中小企業は弱いといいます。けれども、大企業が個々の力を70パーセントぐらいしか生かすことができなくても、中小企業は100パーセント、やりかたによっては120パーセントも生かすことができるわけです。
そういうところに、中小企業の一つの大きな強みがあるように思います。
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「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」PHP文庫から
これが中小企業というものなんや。
そして
自分より得意先を心配して真摯に対応するような社長がいるなら
将来は必ず大きい会社になっていくんや。
そういう会社に飛び込む勇気も持ってみよう。
◆震災を乗り越える勇気、中小企業に飛び込む勇気。
震災があってから心が安定せず、いろいろな不安も増殖して
就活どころではない人もいるかもしれない。
また4年生の中には、卒業直前まで未内定の人もいることでしょう。
今回の震災では
昭和九年の松下電器のように真摯な対応をしている企業も
リアルタイムに多くあります。
世の中、就職先は大企業ばかりではない。
中小企業は人を120%生かす。
まだ就活を諦めてはいけないよ。
未来のパナソニックとなる会社も
今この瞬間で、確かにあるのだ。
被災地への支援、得意先への支援から
真摯な企業を見定められるかもしれない。
企業には真摯さ(integrity)こそ大切だ
(ドラッカー)
震災も、就活も乗り越えよう。
それではまた。