
新聞の折込広告を見るといかにして買物に来ていただくか、デパートにスーパー、小売店まであの手この手の策をつくす。今は歳暮と忘年会のお誘い。マンションに車、紳士服に電化製品とジャンルを問わず競いあう。
あるスーパー。人参、ジャガイモ、里芋、ピーマン、ふりかけ、いりこ、他にも商品があったかもしれないが「1袋100円での詰め放題」、どのコーナーも台を囲んだ顔は真剣。
ひと口チョコレートのそれに初めて手を出し、その戦果を親戚の子らに出したら「オォー」と歓声を上げて喜んでくれたことを思い出し歳を顧みることなく2回目の挑戦をする。
「前回より袋が小さくなってますね」、詰め込む手を休めることなく隣の人が話しかける。気付いてはいたが「そうですか」と、こちらも手を休めずに返事。
黙々と詰め込む。1個掴んでは隙間へ押し込む。隣の人が2袋目を詰め始めた。なんと詰める前にポリ袋を全方向へ引き伸ばしている。それも真剣に。そうか、小さな袋の容積をいくらかでも拡げる、なるほどと感心。
あまりあさましい姿を見せたくない、見られたくないと思いながら手を出したが、結構面白い。そのうち詰め込む工夫をし楽しんでいる自分に気付き気持ちの中で苦笑する。が続ける。
もういいでしょうと詰めかたをやめる。終わって気付いたが2重の人垣になっていた。楽しみながら安く買う人が多い、そう思いながら袋を両手に挟むようにして台を離れ後ろの人に代わった。
どの詰め放題の台も盛況だった。
(写真:小さな袋に思いきり詰められたひと口チョコ、開放されホットしている)