錦帯橋のたもとにも門松が立ち観光で訪れた人を喜ばせている。勿論、地元の人も同じ。橋の周りはどれも見事な門松が並び「門松の競演」といった感じがする。
錦帯橋周辺には古い町並みが残っており、錦帯橋と合わせ世界遺産への登録運動がある。関連するのだろうか、この町並みを「保存」する運動が始まった。保存となればいくらかの制約が加わるだろうが、住民の皆さんの理解は得られた、という。
そんな町の通りに「古い町名」をしるした木の札、宇野千代の小説でお馴染みの町名が要所要所に取り付けてある。何町何丁目何番などと呼ぶより、子どものころ覚えた町名ならどの付近かおおよそ分かる。
いくつか並べてみよう。大名小路、材木町、魚町、登富町、鉄砲小路、鍛治屋町、扇町、塩町、長久寺小路、曲尺町などなど、それぞれの言われがあって長く親しまれた呼び名だが、住居表示の変更で薄れていく。
古い町並みを歩くと「おや」と思うものに出会うことがある。大名小路を歩いて、もう少しで錦帯橋という付近でひょいと左、材木町に向かって曲がったところに「髪結處」と書かれた看板がある。
髪結處から高島田姿の粋な人が、小走りで道を横切り向かの割烹の格子戸をあけ腰をかがめながら入っていった。つい妄想に誘われるそんな古い町並みがいい。割烹の商いは止められているが大きな家屋は残り、庭木はいつも手入れされている。
パーマ屋さんに美容院、呼び方は人によって異なるが評判のお店らしい。あるところで見かけられ自分のお店にもと思われ「髪結處」を掲げられた、という風に聞いている。古い町並みにはカタカナやアルファベットより漢字のお店が似合う。
(写真:町並みに似合う看板、写真掲載は了承すみ)