日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

息子の涙

2008年12月04日 | エッセイサロン
                

 妻と帰宅したら8歳の息子が駆け寄り「ジョンが死んだ」と言い終わらぬうちに涙を流し始めた。

 家の入口に、生後すぐ置き去りにされた子犬は、一人息子の弟として家族の一員になった。

 それから3年、弟の世話が楽しく、ひとりで何でも出来始めたころ、突然の病死。ショックから泣き声は小さいが、大きくしゃくり上がる肩から息子の心の内が伝わる。こうして成長していくのだ、そう思いながら肩に手を置いた。

 脳トレ用の紙細工で犬を作りながら、30年あまり前に貴い経験をして流した息子の涙を思い出していた。

(写真:在りし日のジョン)

2008年12月4日 毎日新聞 「はがき随筆」掲載

コメント (12)
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