雨の日はなるべく出かけたくはない。それでも用事があれば出かける。近所で済むときは歩いていく。昔は雨が降れば黒い長靴を履いていた。最近は雨の日でなくても履けそうなおしゃれなシューズになっているが、我が家にはまだない。
雨の日に歩くとそうでない日に気づかなかったことに「おや」と思い当たる。強い雨のとき、アスファルトの上を流れる雨水の速さに、何気なく歩いていたこの道はこんなに勾配があったのか、と気づく。
車と行き違うとき、車と傘の接触を気遣って傘を斜めにして立ち止まる。歩道も路側帯もない裏通りでは自分の身は自分で守るしかない。
玄関脇で鉢物の木々が雨にうたれている。水撒きを休んで雨にさらす人の知恵。たっぷりの給水とついているホコリなどがきれいに洗い流され、本当の自然に返ったように生き生きとして見える。
買い物を我慢するか雨の止むのを待っているのか、スーパーの前にとめてある自転車が少ない。郊外の屋根付の駐車場があるスーパーへ行かれたのかも知れない、強い雨足を傘に受けながら、得にもならないことを思う。
工事が終わったある医院の駐車場、アスファルトに引かれた白い線が雨によっていっそう白く見える。シンプルだが黒と白のコントラストの妙のようでもある。
(写真:あまり目にしなくなった戸樋からの雨水)