
「ここが山口県の東の端の駅」と同じ上り列車から降りた私より年配の男性が連れの男性に話す。改札へ向かって前を行くその人の会話から町内にある石油精製会社に勤務された経験があるようだ。
その東の端の駅とは、2008年3月に開業したJR山陽本線和木駅。岩国駅と大竹駅の中間といっても岩国駅から3.8キロ、大竹駅まで1.5キロの位置。また、山口と広島の県境まで500メートル余り、県境の駅ということになる。山陽本線の起点・神戸駅からは342.3キロという。年に何度か利用するがそんな意識で乗降したことはなかった。
端の駅といえば最北の駅、という言葉がポット出る。最北の駅は字の通り北海道で、JR宗谷本線の終点にあたる「稚内駅」。ネットで問い合わせるとすぐに返ってくる。礼文島と合わせて一度足を運んでみたいと思いながらかなえていない。
最北端の次は最東端。JR根室本線の終点の一つ手前にある「東根室駅」。地図で見ると根室半島中央付近で東根室駅を出るとすぐに線路が西へカーブして終点の根室駅に続いている。駅付近は広い森林かと想像したが、航空写真で見ると碁盤の目の街並みが線路を挟んで終点まで続いている。驚いた。
東の次は西。長崎県の西の端、平戸へ渡る手前にある松浦鉄道西九州線の「たびら平戸口駅」。駅前には平戸市出身の作曲家:藤浦 洸の揮毫による「日本最西端の駅」の碑が存置されているそうだ。1988年4月、JRから第三セクターとして今の路線名に変わる。注書きがある。沖縄のモノレール那覇空港駅が最西端だが、普通鉄道して国内路線のどこからでも直通でつながることから最西端としている、と。
最後は南端。鹿児島県の一番南を走る、JR指宿枕崎線の終点「枕崎駅」。薩摩半島の海沿いに鉄道が走っており、長崎鼻にいちばん近づくこの駅が最南端となる。2006年の駅位置移動に伴い解体され、今に至るも駅舎はない簡素な終着駅という。航空写真で確認できる。
小耳にはさんだひと言で日本縦断という思わぬ旅をした。東根室の街並み、駅舎のない終着駅など驚くこともあった。住んでいる町でも知らないことが多い。ましてや旅に出ると全て初めて。机上の旅も気ままでいい。
(写真:和木駅の外観)