
社名が「株式会社ベンリナー」という会社が市内にある。ベンリナーは野菜スライサーで、その起源は大根のケン突き器の製作から始まった。1950年の創業というから60年になる。決して大企業ではないが、米国では野菜スライサーといえば「ベンリナー」というくらい知られているという。
子どものころから社名は知っている。我が家にも何代目かのそれがある。替刃も何種類かあり重宝に使われている。昔は木製台の枠に刃を取り付けていたが、ほうの木の入手が困難になり今は樹脂が使われている。ポリオレフィン等衛生協議会に加入しているといううのも頷ける。
そんなベンリナーの新しい社屋と工場が市内の別の場所に完成し業務が移ったと報道された。しばらくしてこれまでの社屋と工場の解体が始まった。先日そばを通ったらほぼ解体が終わり、そのがれきがうず高く積まれている。一瞬、東北被災地の映像とラップした。
工場の外壁越しに鳥居と社が見えていた。幟の一位という文字が見えていたから稲荷神社に間違いない。移転された時から見えなくなったので新社屋とともに移ったのだろう。稲荷神社は各種産業の守護神といわれる。ベンリナーのこれからも見守るのだろう。
解体整地後は宅地に変わるという。ここから少し錦帯橋寄りの工場跡地も宅地となり、新しい街並みが出来た。懐かしい風景がどんどん変わっていく。これが時代の流れだろうか。
(写真:解体で積み上げられたがれき)