鉄道やバスなどで幹線以外の地方支線をローカル線、と広辞苑は説いている。現在のJR岩徳線、かっては山陽本線でもあったが国鉄の変遷の中でその本線の名称を海沿いに譲った。山陽本線経由で岩国から徳山以西へ行く場合、乗車距離は岩徳線を経由したことになり距離が短く計算されていた。その逆も同じだった。今もだろうか…。
岩徳線の駅のホームは長い。今はジーゼル車が朝夕の多いときで3両の連結。その昔は、蒸気機関車の後ろに黒っぽい客車が5両も7両も連結されていた。それが停まるには長いホームが必要だった。昔を知らないと、長いホームは無駄、と映るかも知れない。
その蒸気機関車のばい煙が嫌われた。長いトンネルでは窓を全閉。それでも連結部分などから漏れこみ、車内に煙が入り、そして夏場はたまらなく暑かった。鉄橋を渡るジーゼル車を眺めながら汽車通だった同級生は懐かしそうに話した。
かっては公害とも言われ嫌われた蒸気機関車からのもくもくと吐き出されれる黒い煙、観光の主役として人気を復活している。山口線を走るC57の雄姿を見たことがある。写真愛好家が絶好の的とすることが伝わる。
時速500キロ近くで走る磁気浮上式リニアモーターカー、それが東京を出発する日もそう遠くない。そんなときローカル線の車窓から見える自然を求めて、訪れる人が増えるかもしれない。そのためにも沿線の自然は自然のままで残してほしい。
(写真:錦帯橋からおよそ1キロ下流の岩徳線鉄橋を渡る下りのジーゼル車)