
低い雨雲がパラパラと撒くような大粒の雨を大きな音と一緒に降らせる。2、3日続く雨に少し日ざしが欲しい。そう口にだしてもかなうものではない。うす暮れかけた道べの白いユリは黙って雨を受けている。
いや、よく見ると雨に抵抗している。雨をしのいでいる。漏斗状に開いた花は横向きで雨を避けている。先が開きかけたつぼみは下向きで雨を流し落としている。つぼみは上を向いているが花びらを硬く円錐状に閉めて雨を防いでいる。
これは、雨を自らの中へ入れぬように自らが守り、そして美しく綺麗に咲こうとする花の知恵なのかと気付く。いや私の発見かもしれない。そう思うと花についている雨滴のそれぞれは知ってか知らぬか、花の白さを引き立てている。これは自然の生業だろうかと、また感心する。
人は教えられたり学習したりで身を守る術を備えてきた。いや、花のようにまだ自分で気付かぬものを持っているのかもしれない。それに気づいていないだけかもしれない。そんなひとつに「絆」が思い浮かぶ。それを強く教えてくれたのが東日本大震災だった。古い言葉のように感じるが、受け継がれてきた人の知恵を教えられる。
(写真:雨滴の輝きもなかなかのものだった)