『快速と動体視力』の男の子は、快速電車から、通過駅のホームに立つ彼女を一瞬見るだけで満足している。実に無欲な片思いだ。授業に遅れてもいいから各駅停車に乗りたいけど、勇気がないからできないと歌っている。
本当に彼女のことが好きなら、1回くらい遅刻しても、彼女と同じ電車に乗って、その姿をゆっくり見つめてみたいと思わないのだろうか。
でも、彼は彼女と同じ電車に乗らない方がいいと思う。もしそうしたら、見なくてもいいものを見てしまうからだ。
彼女がいつも同じ時間に通過駅のホームに立っている理由は、彼女もまた誰かに片思いしていて、同じ電車に乗ろうとしているからではないか。そして、その同じ電車は7時12分の各駅停車で、2人が乗り込むのは前から2両目の車両だ。そう、彼女は『7時12分の初恋』の主人公なのだ。
ホームに立つ彼女の「斜め前」には学生服の男子がいて、彼女が彼をうっとりと見つめていることは、快速電車の中の彼の目には全く映っていないはずだ。
彼女もまた無欲な片思いに満足していて、「目と目が合わなくたって楽しいデート」「ハートまで近づけない」と歌っている。
そして極め付きは「遅刻はできないわ」という歌詞だ。『快速と動体視力』の男の子が、「授業に遅れる」ことを勇気が出ない口実にしているように、彼女もまた遅刻を理由に、毎朝の密かな「デート」を20分で切り上げ、電車を降りて学校に向かうのだ。
偶然だが、2人とも学校に間に合うギリギリの電車に乗っている。だから毎朝必ず会えるのだが、それ以上進展することもない。そういう運命の2人なのだろう。
本当に彼女のことが好きなら、1回くらい遅刻しても、彼女と同じ電車に乗って、その姿をゆっくり見つめてみたいと思わないのだろうか。
でも、彼は彼女と同じ電車に乗らない方がいいと思う。もしそうしたら、見なくてもいいものを見てしまうからだ。
彼女がいつも同じ時間に通過駅のホームに立っている理由は、彼女もまた誰かに片思いしていて、同じ電車に乗ろうとしているからではないか。そして、その同じ電車は7時12分の各駅停車で、2人が乗り込むのは前から2両目の車両だ。そう、彼女は『7時12分の初恋』の主人公なのだ。
ホームに立つ彼女の「斜め前」には学生服の男子がいて、彼女が彼をうっとりと見つめていることは、快速電車の中の彼の目には全く映っていないはずだ。
彼女もまた無欲な片思いに満足していて、「目と目が合わなくたって楽しいデート」「ハートまで近づけない」と歌っている。
そして極め付きは「遅刻はできないわ」という歌詞だ。『快速と動体視力』の男の子が、「授業に遅れる」ことを勇気が出ない口実にしているように、彼女もまた遅刻を理由に、毎朝の密かな「デート」を20分で切り上げ、電車を降りて学校に向かうのだ。
偶然だが、2人とも学校に間に合うギリギリの電車に乗っている。だから毎朝必ず会えるのだが、それ以上進展することもない。そういう運命の2人なのだろう。