YKG行くぞ(ナッキー)朝日新聞記事を引用
山口だってアイドル、全国の人を驚かせたい ⬅映像あり
「おはようございます!」。金曜の夕方、防府市のビルに、女の子たちが次々とやってきた。母親の車に乗った制服姿の子がいれば、自分で運転して来る子も。到着後はスニーカー、ジャージー姿になり、広さ約40平方メートルの部屋の鏡の前でストレッチを始めた。その数7人。ローカルアイドル「山口活性学園」(山活〈やまかつ〉)のメンバーだ。
県内在住の13~22歳。98人の中からオーディションで選ばれ、2年前に結成された。スタッフはプロデューサーの玉乃井信彦さん(33)ら3人。金曜は夜7時から3時間、ダンスのレッスンを受ける。
メンバーは仲間でありライバルだ。昨年11月のある日、玉乃井さんがオーディションをすると告げた。最近レッスンしたばかりの新曲で、中央で歌って踊る「センター」を決めるのだ。この日は体調不良と忌引で2人が不在。だが、玉乃井さんは「芸能界ではその日のチャンスを逃せば終わり」と平然と言った。
5人は1人ずつ歌い踊った。途中で動きが止まったり、歌詞を間違えたりする子もいる中、センターはノーミスだった高校3年の森脇優依(ゆい)さん(ゆい、18)に決定。発表を聞いて、他の4人は唇をかんだ。
汗だくになってレッスンが終わると、高1の岡村百華(ももか)さん(もも、16)は髪を整え、スマートフォンで自分を撮影。「レッスン終わったよー!」と写真と一緒にツイッターに投稿した。見ているファンを意識してのこと。最年少の中1藤井澪奈(れな)さん(れな、13)も最年長のリーダー・Yulyさん(ユリー、22)に呼びかけた。「Yulyさん、写真撮ろー」。同級生のようだ。
メンバーは平日は学校や仕事がある。メーンの活動は週末のライブだ。県内だけでなく、東京や大阪に行くこともある。「休日」はないに等しい。
◇ ◇
この記事を書いている私は24歳。昨年10月、上司にいきなり「アイドルやってみるか」と言われた。
ローカルアイドルが全国で花盛りだ。NHKドラマ「あまちゃん」で認知度も高まった。山口にもいるだろう。メンバーのようになって深く取材してみれば、山口の「今」が見えてくるんじゃないか――。そういう趣旨だった。
私は昨年4月に山口市に赴任し、この街の同世代がどんな思いを抱いているのか気になっていた。それに芸能界を目指すのなら、大都会に行くのが近道のはず。山口で活動する理由は? スタッフが考えていることは? ファンや一般の人はどう受け止めているんだろう? 興味がわいて「やります」と答えた。
メンバーとの初対面は11月上旬。レッスン場で「新メンバーでーす」と紹介された。ポカンとしつつも、メンバーは「なんて呼べばいいですか」と近寄ってきてくれた。私の呼び名は「くりちゃん」になった。
初レッスンでは、約30分のストレッチや筋トレの後、振り付け指導のRICOさん(26)の指導で新曲のダンスを練習した。メンバーは鏡を真剣に見つめて動きを繰り返す。私は見よう見まねだが、足がガクガクで手足を動かすのが3拍ほど遅い。「最初はゆいも筋肉痛になったんよー」。ゆいにさっそく励まされた。一番お姉さんなのに。
◇ ◇
翌日の土曜日、防府市でのライブに足を運んだ。特産品を屋台などで販売するイベントで、主催者に招かれての出演だ。
屋外の会場に音楽が響く。一角にあるステージに、別々の色のスカートを着たメンバーが登場。いきなり激しく踊って歌い始めた。40分間トークはほとんどなしなのに驚いた。
「ゆいりーん」「ももたーん」。叫ぶのはいわゆる「オタク」。多くは20~50代の男性だ。こぎれいなシャツやパーカを着た人がほとんど。思っていたオタク像と違う。
ライブの後はサイン・握手会だ。ファンと直接ふれ合うのが目的だが、無料ではない。CDやタオルなどを買うと、千円あたり2枚の「握手券」がつく。1枚でお目当てのメンバー1人と1分間会話ができ、サインがもらえる仕組みだ。制服姿の女子高校生や小学生を連れた家族連れも並んでいる。
Tシャツを買い、れなの列に並んだ。「くりちゃん、来てくれてありがとう!」。れなは取材ノートにサインすると「れなもねー、学校でこういうノート使っちょるよ。最近は英語の筆記体が難しくて。書ける?」。次々話題を振るさまは中1とは思えない。
山活のキャッチフレーズは「ヤマグチで、アイドル」。Yulyはこの言葉が大好きだ。「全国の人をびっくりさせたいんです。山口にも、こんなにすごいアイドルがいるんだって」(栗林史子)
山口だってアイドル、全国の人を驚かせたい ⬅映像あり
「おはようございます!」。金曜の夕方、防府市のビルに、女の子たちが次々とやってきた。母親の車に乗った制服姿の子がいれば、自分で運転して来る子も。到着後はスニーカー、ジャージー姿になり、広さ約40平方メートルの部屋の鏡の前でストレッチを始めた。その数7人。ローカルアイドル「山口活性学園」(山活〈やまかつ〉)のメンバーだ。
県内在住の13~22歳。98人の中からオーディションで選ばれ、2年前に結成された。スタッフはプロデューサーの玉乃井信彦さん(33)ら3人。金曜は夜7時から3時間、ダンスのレッスンを受ける。
メンバーは仲間でありライバルだ。昨年11月のある日、玉乃井さんがオーディションをすると告げた。最近レッスンしたばかりの新曲で、中央で歌って踊る「センター」を決めるのだ。この日は体調不良と忌引で2人が不在。だが、玉乃井さんは「芸能界ではその日のチャンスを逃せば終わり」と平然と言った。
5人は1人ずつ歌い踊った。途中で動きが止まったり、歌詞を間違えたりする子もいる中、センターはノーミスだった高校3年の森脇優依(ゆい)さん(ゆい、18)に決定。発表を聞いて、他の4人は唇をかんだ。
汗だくになってレッスンが終わると、高1の岡村百華(ももか)さん(もも、16)は髪を整え、スマートフォンで自分を撮影。「レッスン終わったよー!」と写真と一緒にツイッターに投稿した。見ているファンを意識してのこと。最年少の中1藤井澪奈(れな)さん(れな、13)も最年長のリーダー・Yulyさん(ユリー、22)に呼びかけた。「Yulyさん、写真撮ろー」。同級生のようだ。
メンバーは平日は学校や仕事がある。メーンの活動は週末のライブだ。県内だけでなく、東京や大阪に行くこともある。「休日」はないに等しい。
◇ ◇
この記事を書いている私は24歳。昨年10月、上司にいきなり「アイドルやってみるか」と言われた。
ローカルアイドルが全国で花盛りだ。NHKドラマ「あまちゃん」で認知度も高まった。山口にもいるだろう。メンバーのようになって深く取材してみれば、山口の「今」が見えてくるんじゃないか――。そういう趣旨だった。
私は昨年4月に山口市に赴任し、この街の同世代がどんな思いを抱いているのか気になっていた。それに芸能界を目指すのなら、大都会に行くのが近道のはず。山口で活動する理由は? スタッフが考えていることは? ファンや一般の人はどう受け止めているんだろう? 興味がわいて「やります」と答えた。
メンバーとの初対面は11月上旬。レッスン場で「新メンバーでーす」と紹介された。ポカンとしつつも、メンバーは「なんて呼べばいいですか」と近寄ってきてくれた。私の呼び名は「くりちゃん」になった。
初レッスンでは、約30分のストレッチや筋トレの後、振り付け指導のRICOさん(26)の指導で新曲のダンスを練習した。メンバーは鏡を真剣に見つめて動きを繰り返す。私は見よう見まねだが、足がガクガクで手足を動かすのが3拍ほど遅い。「最初はゆいも筋肉痛になったんよー」。ゆいにさっそく励まされた。一番お姉さんなのに。
◇ ◇
翌日の土曜日、防府市でのライブに足を運んだ。特産品を屋台などで販売するイベントで、主催者に招かれての出演だ。
屋外の会場に音楽が響く。一角にあるステージに、別々の色のスカートを着たメンバーが登場。いきなり激しく踊って歌い始めた。40分間トークはほとんどなしなのに驚いた。
「ゆいりーん」「ももたーん」。叫ぶのはいわゆる「オタク」。多くは20~50代の男性だ。こぎれいなシャツやパーカを着た人がほとんど。思っていたオタク像と違う。
ライブの後はサイン・握手会だ。ファンと直接ふれ合うのが目的だが、無料ではない。CDやタオルなどを買うと、千円あたり2枚の「握手券」がつく。1枚でお目当てのメンバー1人と1分間会話ができ、サインがもらえる仕組みだ。制服姿の女子高校生や小学生を連れた家族連れも並んでいる。
Tシャツを買い、れなの列に並んだ。「くりちゃん、来てくれてありがとう!」。れなは取材ノートにサインすると「れなもねー、学校でこういうノート使っちょるよ。最近は英語の筆記体が難しくて。書ける?」。次々話題を振るさまは中1とは思えない。
山活のキャッチフレーズは「ヤマグチで、アイドル」。Yulyはこの言葉が大好きだ。「全国の人をびっくりさせたいんです。山口にも、こんなにすごいアイドルがいるんだって」(栗林史子)