空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

al Shabab,プントランド軍に攻撃

2012-12-07 00:38:32 | プントランド関連
 死者・負傷者31名発生。

BBC Somalia's al-Shabab targets Puntland military 5 December 2012

 プントランドの情報相Mohamed Aydid氏によれば,al Shababはボサソ近くで,路肩爆弾を使って兵員輸送のトラックを攻撃。10名の兵が死傷。また,当該地区の軍基地に重武装のal Shababが攻撃を仕掛け,軍はこれを撃退した由。声明によれば,兵2名が死亡。

 al ShababはGalgalo山地(Garowe Onlineの報道では従来,Galgalaとあったものでしょう)に逃亡した由。彼らの死傷者については,7名死亡・12名以上負傷という。山地へと追跡しているとか。なおal Shabab側は攻撃の事実を認め,プントランド兵29名を殺害し遂せたと主張すると。

 al Shababは南部でそれなりに後退しており,ここ数か月間で北部に数十名規模で移動してきていたと言われていた。

 なお,Yemenから海を越えて移送されてきた武器弾薬が軍に捕獲されたという。

 以下に挙げるのはGarowe Onlineの記事:

Garowe Online Somalia: Puntland forces kill 7 Al Shabaab, near Galgala Dec 5, 2012 - 2:24:52 AM

 戦闘生起・死傷者数については新情報なし。兵員輸送トラックが攻撃された地点をSugureと挙げてあって,これはBBCにはない情報。

 記事は,流石プントランドの報道機関と言うべきか―Mohamud Aideed Dirir情報相のお話として―al Shababはプントランド国内で政治的利益とその政情不安を求める勢力の援助を受けているのだ!というのである。最近,プントランド国外の人々が,プントランド軍がal Shabab上層部を捕えたことに批判的であったねえ,氏族を理由としてのことだとかなんとか言ってたねえ,というのである。

 ―そういえば,今年初め,ソマリランドの政府要人がSomaliland出身のal Shababの人間に寛容を示すとか言ってましたよねえ,と続けるわけである。


 ともあれ,それでもal Shababは南部での活動はなお維持しており―Jowharはまだal Shababの手にある。

BBC Somalia: 'Al-Shabab' ambush ministers and defend Jowhar 4 December 2012

 ここ数週間は比較的静かだったものの,Merca近くでソマリア政府の防衛相・内務相・司法相が乗った車が攻撃される事件があった(なおお三方は無事)。護衛の4名の警官が重傷。現地報告・al Shababの主張では数名死亡という。

 また,Jowhar近くではal Shababが集結しており,二時間ほどの銃撃戦も発生したという。これはまだal Shababの手にある都市としては最大のもの。

 中Shabelle施政官Abdi Jiinowによれば,政府軍3名,al Shabab兵15名が死亡。ここ数カ月で最も激しい戦闘であったという。

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エリトリアサッカー選手らは... | トップ | Jowharは政府側・AMISOMの手... »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ftb)
2012-12-08 11:29:54
シャバブは北部に移転するんですかね?それともここは単なる支店なんですかね?

私が思うに、移転なら失敗しそうですな。一般に、反乱勢力が長く拠点を置けるのは、地元支援を得られる場所に限られる。ソマリア南部は内戦前から「ハウィエの連中」にいいように使われていたので、ちょうど平安末期の関東地方のような感じで、場所そのものが反乱の拠点に成りやすかったんでしょう。その点、北部は元からダロッドの力が強くて独立の気風があったし、最近では治安も安定しているので、反乱勢力が付け入る隙が少ない。しいて言えば、ソマリランドとの国境沿いには無法地帯もあるはずで、そのあたりを拠点にする手はありますかね。しかし外国から武器支援を受けられ、そこそこの資金源になりうるものがある場所はそうはないはずで、あったとしてもそこを占拠するのは非常に苦しいでしょうな。
返信する
Unknown (teiresias@でさき)
2012-12-09 09:03:09
>一般に、反乱勢力が長く拠点を置けるのは、地元支援を得られる場所に限られる

つ ソマリランド

al Shababの統領のひとりGodaneはソマリランド出身・ソマリランド当局は自領域出身のal Shababに甘い顔をする…

そんなわけでプントランドとしては,ソマリランドを非難する・警戒する(ことにした)模様

それにあちらさんはイサックですし。

>ソマリランドとの国境沿いには無法地帯もあるはずで

とりあえずGalgala山地なんでしょうねえ
しかし物資の補給も微妙にままならない様子です

返信する
Unknown (teiresias)
2012-12-11 01:11:10
というか,順調に狩り出されている感ですね>galgalaのal Shabaabたち
ソマリランドをガチ聖域に使って,全力でテロにいそしめば,かなりの治安悪化を実現できそうですが…

…プントランド軍の壁は相当に厚そう。
返信する
Unknown (teiresias)
2012-12-11 01:26:24
というかテロ行為に基づいてプントランド国内で市民的支援を勝ち取るには,
・治安を悪化させる
・プントランド当局への信頼を失わせる
・プントランド・ソマリランド両国両領域の仲を超悪化させ,通常の経済活動さえ困難にさせる
・結果,エチオピアが経済的影響を多大に被って堪忍袋の緒が切れる
・エチオピア軍のプントランド・ソマリランド国境付近への大規模軍事介入が起こる
返信する
Unknown (teiresias)
2012-12-11 01:29:33
・エチオピア軍が市民の憤激を買い,反エチオピア感情がひろく共有される
・エチオピア軍に対する怒りの鉄槌としてのal Shababへの支持が高まる,

…という,風が吹けば桶屋がもうかる式の長大なフラグの連鎖を見事に立てつづける必要がありそうである。

どの段階でも『結局元凶はal Shababじゃないか』で民衆は常に冷静になりえるという条件もついてて,無理ゲーだと思われ。
返信する
Unknown (ftb)
2012-12-15 12:49:15
私が昔読んだ本(小山久美子「ソマリア・レポート」だったか)によれば、内戦前のソマリランド地方は良くも悪くも田舎だったらしい。その本の著者は確かモガディシュとハルゲイサに行き、ハルゲイサの人々はよそ者に対してものすごく感じが悪かった、みたいなことを書いていた記憶があります。内戦後、ソマリア中央を見限って早々に独立を宣言したのも、多分そういう背景があるのでしょう(もちろん独立国としてやっていける経済基盤、地理環境があったことも無視できませんが)。無党派を標榜するシャバブではありますが、しょせんは「南の連中」なわけで、ソマリランドの皆さん(イサックと言ってもいいと思うが)が歓待してくれるというのはちょっと難しいと思います。
返信する
Unknown (teiresias)
2012-12-16 00:05:22
>無党派を標榜するシャバブではありますが、しょせんは「南の連中」なわけで、ソマリランドの皆さん(イサックと言ってもいいと思うが)が歓待してくれるというのはちょっと難しいと思います

そこでソマリランド出身者グループの出番ですよ! …とプントランドは主張する模様です。

その「南の連中」の縄張りで,イスラームの大義のためと称して南の一般人を迫害したりして,なんか悪い意味で氏族政治の枠組みからはずれてる感じですよねあの人たち。
返信する

コメントを投稿

プントランド関連」カテゴリの最新記事