空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

天下りシステム・学術ポスト・次世代教育

2018-06-01 10:01:34 | ノート
 サッカーに詳しくないが、なにやら示唆的ななにかが含まれているように思えたので引用してみる:



 他意はない。私としては自分が「多少実績ある若手」だったこと、また「多少実績ある若手」だった同僚が「調子落と」したときの明暗を思い起こし、またさらに年配へと近づきつつある昨今、「年配の実績をこそ高く評価」することの是非、しかし「スポンサーのコネ」は私には皆無だなあとか思いつつ、メモ。



 池内先生の、地獄の底から響き渡るような怨嗟の声―と読めるのはこちらの都合ではある。そんな怨嗟の声の主体たちをあまりに多数、知っているがための読み込みである。いやまあ池内先生のほうが私より数多くそうした人々を知っているためにこういう発言にもなるんだろうが。



 発言中に既に大矛盾がある。問題は「その程度の輩」をもてはやしたり、研究者ポストを浪費させたりするところにある。「機会費用」とでも言えばいい。

 また、あからさまに国家政策と矛盾する。

 昔の大天才は、社会制度―身分制―の圧力に負けずに遂には大業績を挙げたものだったろう。しかし今は四民平等の世界であり、しかもおおむね世界中そうなっており、一定程度の確率で発生する天才素質保有者を身分・出身によらずピックアップし教育を施すことで、できるだけ効率的かつシステマティックに天才を確保するという体制になっている。
 そのため、
1) 「その程度の輩」(である名望家出身のひと)をもてはやし、特別なポストを用意すると、その分、平民出身から選抜された者のポストが減る
2) 「その程度の輩」が教育ポストにつくことで次世代への教育の水準がさがる
 結果として
1') 実行可能だった研究プロジェクト等が実施されず、または実施時期が遅れて、その分、他国に対して劣位となってゆく
2') 次世代の教育が劣化することで、現在現役世代の国内での相対的優位はより強化されるが、それに対して他国に対して国家総体としてのパワーは劣位となってゆく

 こうしたわけで、国家単位で言えばとにかく総力を挙げるべき、ということになり



 ―優秀な官僚を、その能力を多様に展開してもらうため、「天下り」の形式で大学教授になってもらうなどというコースは当然あるべきだ。イギリス的だが。しかし某元文科次官殿のやりようは、高級官僚であるがゆえに天下りできるシステムの温存というところにあったというわけで、当然批判されるべきなわけだ。これに対する歴代の怨念は相当なものと言うべきだろう。しかも問題となった天下りシステムは、上級の指揮・指導に反してあえて保持されたものとのことで、刑法的な国家反逆罪ではもちろんないだろうが、倫理的には国家に対する反逆―しかも私利私欲による―と評価されかねまい(だから勇退の格好で退職させられたと聞く)。それを一般論で切り伏せたつもりになっているのは問題の所在を理解していないというべきだろう。



 そりゃ



 ということであって、それらも若手の怨嗟の対象である。「無能は去れ」というのであり、「能力を活用せよ」というのであって、「ようは、品性下劣低能な」者をそもそもポストにつけるなということである。まあ某元文科次官殿にはポストはないものと思われ、その点ではよかった。

 他方、まだ何者ともつかない若僧どもというのは、有能かも無能かもわからず、品性が下劣かどうかもまあわからない。ポストについた瞬間、研究も何もやめてしまって、ただ馬齢を重ねるだけかもしれない。それくらいなら有能なことが明らかな天下り人を―という選択がありえることも否定できない。だが―



 ―とまあ、システムを動かすほうであることを便利に使ってシステマティックにやってくるのであって。
 若手に、戦う力も方法もそうそうないのである。
 それとも、研究力は有力学術賞受賞級、政治力は30年上の中央官庁生え抜きの高級官僚がシステムで押してくるのに対して伍するほど、資金調達力は当然、並みの教授など問題にならない高さ―でないとそもそも生き残れない状況がお好みだろうか―というわけなのだ。つうかそこまで有能だったら起業でもして自分の研究所でもつくるわな。



 …最近、私はこういう厳しい態度もアリかなあと思えてきた。



 …うん…。

 でまあ、「大学教授」という肩書きを合理的に入手しようと思えば



 …まあ、こうなりますよね。
 
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