空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

【LGBT問題】配慮は当然必要だが、さてどういう労働の局面でどんな配慮が必然的なのか

2019-05-16 23:08:25 | ノート
「ねじふせた」なんてところに、ゆくりなくも問題の本質に権力闘争が絡んでいることが現れているかなと。

東洋経済 「大物女優」をねじ伏せたLGB「T」の理想と現実 日本も他人事ではないハリウッドの降板騒動 2018/07/27 6:00 鈴木 みのり :

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リセットは「シスの俳優と等しくトランスの俳優に配役の機会が与えられていないこと、実際に生きるトランスの声の積み重ねの中で生まれるキャラクターをシスの俳優が盗用し、賞や名誉を得てきたのだ」と指摘した

 多くの俳優たちが軍人や政治家や冒険者や…のキャラクターを盗用してきたのだろう。いやお前そんな馬鹿な。例えば『ランボー3』ではムジャヒディーンへの敬意を示しただろう。つまり

リセットが指摘するように、現実に生きるトランスたちの人生や注目度を利用して映画やドラマを作るのであれば、経済性だけでなく敬意が必要ではないかと、筆者も考える

 が言うように、「敬意が必要」なのであって、具体的ないちトランス女性役者が具体的なとあるいち映画のトランス役を得られないことがトランスに対する侮辱を直接意味するであろうか。

出演俳優の知名度と映画の興行成績が比例する側面もあるだろう。だが、スターがいないと観客を動員できないわけではない

 まあつまり繰り返しのように、ここ最近私が書くように、娯楽作品なんだからちゃんと娯楽として面白けりゃあいいわけですよ。

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ショーン・ベイカー監督とプロデューサーらは、脚本の執筆にあたり、リサーチを重ねる中で知り合ったトランス女性らの声を反映した。そのうえで、キャストにはほぼ素人を起用し、予算10万ドルに対して9倍以上の収益をあげた

 つまり(例えば)このリセット氏でなくて構わないわけです。映画として面白ければ。
 しかし差別的取り扱いを受けてきたが故に―というわけだ:

トランスが映画、テレビ業界で俳優として雇用の機会を得るのは、かなり困難な状況だ。
この問題は、シスに対してトランスが、不当な差別を受けやすく不平等な地位に置かれる社会問題とも関わってくる。そうである以上、現実を意識した配役、つまり就労への配慮が必要になってくるはずだ


 …そりゃまあ、一般的に言って就労への配慮は当然必要。けど、けれどだ、例えばトランス男性の野球プレイヤーの就労への配慮は当然義務として各球団に課せられるべきだろうか。とりあえずプロテストをクリアしてくれ、というところから始まるだろうし、あとはその技術・能力に応じるというだけのことではないか。

 で。有力役者・ドラマの主演をねじ伏せる、トランス・コレクトネスであるが―

exciteニュース 『トランスペアレント』セクハラ疑惑のジェフリー・タンバーが降板へ 2017年11月21日 11:35

米Amazon『トランスペアレント』に主演するジェフリー・タンバーもセクハラ疑惑を受けて降板する

トランスジェンダーのヴァン・バーンズという元アシスタントと、シリーズにシア役でゲスト出演しているトランスジェンダー女優のトレイス・リセットが、「ジェフリーから性的に不適切なことを何度も言われて、セクハラを受けた」と告白したことで、彼のセクハラ疑惑が浮上

Amazonが事実を明らかにするために調査に乗り出していたところへ、ジェフリーが降板を発表。「もし、私の行動が性的に攻撃的だと誰かが誤解したのであれば、心から謝罪したい。私は短気でカっとなりやすく、気を遣わずに厳しい意見をぶつけることもあり、一緒に働きやすい人間ではないと分かっています。ですが、一度たりとも人を食い物にしたことはありません」と述べ、セクハラ疑惑については完全に否定している

 …「金の卵」を打ち壊す結果、「金の卵を産む鶏」をシメる結果になってやしないか、これ:

exciteニュース "クーデター"を起こした『トランスペアレント』がシーズン5で終了 2018年5月13日 16:00

米Amazon人気オリジナルドラマ『トランスペアレント』が、シーズン5で終了することが明らかになった

同作は、長年トランスジェンダーであることを隠し、3人の子どもの父親として生きてきた主人公モートン(のちにモーラ)・フェファーマンがカミングアウトしたことをきっかけに、家族が直面する現実や問題を扱った作品。この役でゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞したジェフリー・タンバーだが、昨年11月に共演者とスタッフに対するセクハラ疑惑を受けて自ら降板を発表。その後Amazon側は今年2月に、ジェフリーを正式に解雇した

さらに、メイクアップ・アーティストのタマラ・デルブリッジが、ジェフリーが主演した2001年の映画『Never Again(原題)』のセットで彼からキスをされたと発言していた。ジェフリーはこれらの告発を受け、「このような虚偽の告発に対するAmazonの対応には遺憾の意を表したい。この件に関する内部調査は、偏見に満ちていて非常に間違っており、撮影現場の雰囲気を悪くしている」と声明を発表していた

 内部調査では、一定のクロが認められたようで、復帰もなにもなくなったと。しかしまあ、正直、「問題化するまでは問題ではない」という部分もあろうなあとは。キスがダメって、どこまでのキスだよ、とか。まあしかしここは分が悪い。大スター様のご機嫌を損ねたくないメイクアップ・アーティスト、という権力関係があるやもしれず、ならばセクハラではなくパワハラの枠で扱うべきかもしれない。

 ということで思うに、役者が語るのは役者としての腕前であろうなあと。
 ”その場所が得られないといっとるんだ!”という主張ではあるのだが、この通り、一級の役者として役を得ることはできている。ならばそのポジションで全力を、ということにならんか。

 いやそうではなく、なにか配慮があるべきで、こう、営業成績をやや度外視してでも私を使うべきだと、それで落ちるかもしれない観客動員予測数については営業努力とかなんとか、そういうのがあってしかるべきだと―いうなら、そういう弱者のためにエンパワーメントとして国・行政側から指導や予算措置があったりするわけだが、いやしかし芸能界の営業成績にはそういう措置はなじまないのではないか。

 少なくとも『トランスペアレント』の件では、同僚を告発して仕事場自体を破壊した当の人のひとりではあり、それはそれでその後の評価に関わるだろうよねえ…。
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