空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

性的指向暴露の問題への対応、一定程度の進展(2)

2020-06-03 18:32:35 | ノート
参照:性的指向暴露の問題への対応、一定程度の進展(2020-06-03)

 この件、初報段階でそこそこ反応があるようで、現場での要請は一定程度あった・あるのだろうなあと思われる。
 運用も手探り状態が続くだろうが、ともかくなんらか善を求めてのことであるという、共同の試みなのだという認識ができればよいなあと思う。

 にしても、ちらりと眺めただけでも相当の困難があり、非常に限定的にしか働かない条例だぞということを、どうにか…ということもある。

 たとえば。



 これは、これだけで聞けば尤もだが



 生き方として、元・身体的には男性のトランス女性として、それならではの美をアイデンティティとするような―人の場合、そりゃあむしろ生まれてこの方の身体的女性と同じ扱いはされたくないかもしれず、そうした個々の生き方ともかかわる、微妙なお話である。

 だいたい、ゲイ・レズとしてひろく認知されなければ、パートナーとの出会いの幅も狭くなり、従ってパートナーとの生活の充実の可能性がそれだけ失われるわけである。

 とはいえ、「言っていいよ」という宣言があったからといって、あっちこっちで言いふらす―なんてのは常識的には危害であって、それはそれでかっちり裁かれろ、というのも尤もだ。つまりこういうのは規制したいわけだ、この条例は。

 とにかく実務で問題が多々あり得そうで、すっごくまじめに考えまくってからやってくれよ、というのは―まあ。

 例えば、「学校の先生が生徒から同性愛者であることを告白された場合」。その生徒の同意がないとカウンセラにも相談できないとなれば、さてどうか。合理的な配慮をしてくれ、というのは尤もな訴えであるが、それを現実化する際には諸種連絡・調整が必要であって、いち教師の分を超える。

 具体的には、例えば更衣室の問題。肉体的には男性だが精神は女性であって、他の男子といっしょくたに教室で着替えるのは精神的に辛い―精神的拷問だと主張された場合。この先生は、この子のために特設更衣室を用意できるか? まあ無理だろう。そんな特別な「ひいき」をする理由を明かせない、上司にも報告できない、しかし人権を守るためにこの教師は『特定の学生にだけ特別扱いをして、しかもその理由を述べない。そんな自分の好き勝手をあからさまに表出する、社会人失格である』と評価され、給料の査定も落とされ―。

 まあ、一部の人々にのみやたらな負担をかけるクソ運用、という評価になりますわな、こういうのは。

 ということで「職務上の必要がある場合、適切なルート・ルートにのっとって行う限りにおいては一切、罪に問うものではない」というルールが必要となるだろう。この場合に付随するウソ(「先生は、誰にも言わないよ!」)も虚偽の宣誓とはみなさない、など。



「それは嗜好であって指向ではない!」というのが公式見解になるかな。しかしミクさんを嫁にする人もいるしな。なので、スクール水着愛好者についても保護されなければならない、というのが本来的な立場になるだろう。たぶんその保護は考えられてない気がするけど。



 …ということかなあ、と思うのである。
 おそらく特別枠を作ると、それ自体が新しい差別の構造として生命を得る。ちょっとは歴史を学ぶとよいぞ、というところで―。

 ―まあ、私も差別問題については論文を一報書いたことだし(もうそろそろ出版される)、今年からは多少の専門家の顔をしてもよいだろう。
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