米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」が9日にサポートを終了した。
これに関連して、全国の地方自治体が保有するパソコン約204万台のうち13%に当たる26万5000台が、XPからの切り替えができていない、という。つまり使い続けるということらしい。
自治体のセキュリティに関する認識は、格差が大きい。
うちの自治体でも、今年度の予算を議論した3月議会で基本的な認識の差があった。
予算要求、査定文書を情報公開請求で12月に取得していたので、次のことの問題はすぐに見えた。
「職員のパソコンが5年経過するので、全部更新したいと、予算要求した担当課。」
しかし、「3年かけて分割更新する、と査定で減額された予算」。
言葉を換えれば、現有パソコンの相当数を6年も7年も使い続けるということ(XPではない)。
(しかも一部の公民館などではXPを置き続けるらしい。ネットにつながずに)
今の時代、パソコンを6年、7年と使って、いい仕事はできない。
そんな趣旨で議会で議論し、当然、この「パソコンの分割更新」は、予算の反対理由の一つとした。
という議会の経過があるので、全国のことを確認してみた。
そしたら、中国では、事情が違うことがわかって、ふむふむと納得した。
サポート終了は世界中同じ。
もともと中国では、XPの海賊版がたくさん出回っていて、それぞれの業者が、今まで通り海賊版XPのサポートを続けるという。
対するマイクロソフト自身は、Windows8アップグレード版を期間限定で「約5000円」で販売、同時に、移行促進のために特別にXPのサポートを続けるという。
このことのリポートは面白かった。
●「サポート終了で盛り上がり!? 中国のWindows XP事情」(山谷剛史の「アジアIT小話」 ― 第71回 / 2014年04月17日)(ブログ末にリンク再掲)
前半の要点は以下とまとめてみる。
★≪中国ではWindows XPの利用率がいまだに全体の6割を占めているともいわれている。
中国のインターネット黎明期に普及しだしたWindows XPに関しては、サービスパックと更新プログラムが適応された最新の“海賊版Windows XP”が街中やネットで手に入ることもあって、その利用率が極めて高い。
Windows XPサポート終了後も、これまでサポートしてきた定番のユーティリティーベンダーが中心となってWindows XPをサポートするので、当の中国人ユーザーにとっては、今まで通りのサポートが続くという認識だ。
中国ベンダー各社は、ビジネスチャンスとばかりにユーザーを抱え込もうと、Windows XP搭載PCの充実したサポートをアピールしている。
★中国人も自作からメーカー製ノートPCに移行、Windowsの正規版を利用する人も増えた。
4月9日にサポート終了はするが、マイクロソフトが中国ベンダーと協力して、新しいOSにユーザーが移行するまでの間、中国ベンダーがWindows XPのその後のセキュリティーの穴埋めなどをサポートすると3月に発表。
マイクロソフトは、ユーザーを正しい方向に導くべく、299元(約5000円)でWindows 8アップグレード版を期間限定で発売するとしている
・・・結果的に一番注目を集めるOSに……≫
ところで、本の原稿の調整とともに、資料も来週確定させたい、という旨の編集者のメールが来たので、今日は、「資料」の原案を確定方向に修正作業する。
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●Windows XP 等のサポート期間の終了に伴う対応について
総行情第32号 平成26年4月11日
各都道府県情報政策担当部長
各市区町村情報政策担当部(課)長 殿
(情報セキュリティ担当課扱い)
総務省自治行政局地域情報政策室長
Windows XP 等のサポート期間の終了に伴う対応について
・・・ついては、更新が完了していない場合には、
①可及的速やかに更新を実施する
②更新が完了するまでの間は当該パソコンの使用を停止する
③やむを得ず使用する場合はインターネットに接続しない
など、情報セキュリティ対策に万全を期していただくよう改めてお願いします。
なお、各情報セキュリティ担当課におかれては貴団体内の関係部署に対して、御周知い
ただきますようお願いいたします。
(写真をクリックすると拡大
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●XP26万台の使用停止要請=自治体、更新間に合わず-総務省
時事(2014/04/11-12:21)
米マイクロソフトのパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポート期間内に後継OSに更新できなかったパソコンが全国の自治体に26万5143台あることが11日、総務省の調査で分かった。新藤義孝総務相は同日の閣議後記者会見で「更新が完了していないパソコンは不正アクセスによる情報漏えいを防ぐことが困難になる」と述べ、未更新のパソコンの使用停止を自治体に呼び掛けた。
XPのサポートは9日に終了。未更新のパソコンは自治体の保有する約204万台の13%に当たる。予算不足などが主な理由で、個人情報の漏えいといった被害報告は寄せられていないという。
〔写真特集〕 暗躍するハッカー
●自治体PCの13% 「XP」からの切り替え進まず
産経ビズ 2014.4.11
新藤義孝総務相は11日、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」が9日にサポートを終了したことに絡み、全国の地方自治体が保有するパソコン約204万台のうち13%に当たる26万5000台について、XPからの切り替えができていないことを明らかにした。
ウイルス感染や情報漏洩(ろうえい)の危険性があるため、総務省は同日、自治体に対し、早急に更新するよう再度通知を出した。更新が完了するまでの間はパソコンの使用を停止するほか、少なくともインターネットに接続しないように呼びかけている。
MSはこれまで、OSの弱点を修正する安全対策プログラムを提供してきた。サポート終了に伴い、今後はウイルス対策ソフトを導入したとしても、新たな手口による攻撃にさらされやすくなる。
●“サポート終了ウィンドウズXP”自治体に26万台超
テレ朝 04/11
全国の地方自治体で、サポートが終了した「ウィンドウズXP」からの切り替えが行われていないパソコンが約26万5000台あることが分かりました。
新藤大臣:「全国の自治体で使われているウィンドウズパソコンは204万台で、うち26万5000台、つまり13%がまだ更新作業をしていない」
マイクロソフト社のパソコン基本ソフトのウィンドウズXPは、製品のサポート期間が終了したため、修正プログラムが提供されなくなりました。新藤大臣は「更新しないと対策ソフトを導入しても、感染や不正アクセスを防ぐことが困難になるので、早急な対応が必要だ」と述べました。これを受けて総務省は、XPの使用停止やネット接続を止めるよう求める通知を11日付で各自治体に出しました。
●サポート終了で盛り上がり!? 中国のWindows XP事情
山谷剛史の「アジアIT小話」 ― 第71回 / 2014年04月17日
Windows XPの公式サポートが4月9日に終了した。基本的には世界中でこの日にサポートが終了となったが、中国では少し事情が異なる。
4月9日にサポート終了はするが、先立つこと3月にマイクロソフトが「XP用戸支持行動」(直訳すると、XPユーザーサポートアクション)を、レノボと中国3大ネット企業の1社「騰訊」(Tencent)とともに発表したのだ。
海賊版の利用率が高いWindows XP
アクセス解析サービス「StatCounter Global Stats」による、中国におけるデスクトップPCの利用OS割合グラフ
これは、マイクロソフトが中国ベンダーと協力して、新しいOSにユーザーが移行するまでの間、中国ベンダーがWindows XPのその後のセキュリティーの穴埋めなどをサポートするもの。
中国のソフト事情というと、海賊版を想像する読者も多いだろう。中国人も自作からメーカー製ノートPCに移行するとともに、Windowsプリインストール率が高くなった。すなわちWindowsの正規版を利用する人も増えた。
逆に言えば、中国のインターネット黎明期に普及しだしたWindows XPに関しては、サービスパックと更新プログラムが適応された最新の“海賊版Windows XP”が街中やネットで手に入ることもあって、その利用率が極めて高い。
さらに、中国人の間で定番のユーティリティーは、Windows Updateを介さずに脆弱性の修正プログラムをアップデートし、セキュリティーを強化するもの。Windows XPサポート終了後も、これまでサポートしてきた定番のユーティリティーベンダーが中心となってWindows XPをサポートするので、当の中国人ユーザーにとっては、今まで通りのサポートが続くという認識だ。
マイクロソフトが低価格アップグレードを提供するも
セキュリティーベンダーはこれ幸いとユーザーを囲いこむ!?
Windows 8が299元で販売されている
マイクロソフトは、ユーザーを正しい方向に導くべく、299元(約5000円)でWindows 8アップグレード版を期間限定で発売するとしている。中国ではWindows XPの利用率がいまだに全体の6割を占めているともいわれている中、中国ベンダー各社は逆ベクトルに走り、ビジネスチャンスとばかりにユーザーを抱え込もうと、Windows XP搭載PCの充実したサポートをアピールしている。
特に目立ってサポートを発表しているのが、前述の騰訊と、日本でもキングソフトとして知られる「金山軟件」、それにここ2,3年で頭角を見せた新興のセキュリティベンダー「奇虎360」の3社。Windows XPサポート終了でも、これをビジネスチャンスととらえ、ユーザーを囲いこまんとしている。
サポートセンターや アンチウィルスソフトでサポートを継続
レノボと騰訊が提案する「電脳清理日」
前述のマイクロソフトの発表時に名前の挙がった騰訊とレノボは、1ヵ月に1度「電脳清理日」(PCクリーンデー)を設けた。ユーザーは中国全土の2400ヵ所にあるレノボのサポートセンターにWindows XP搭載PCを持っていき、1日預けることで累積したPCの諸問題を解決するというサービスだ
また、同サポートセンターでは、XPユーザー向け保守サービスやアップグレードサポートサービスを行なうとしている。ただ、筆者が過去に見たPCユーザーの行動を考えると、多くの市民がサポートセンターに集まってサポートを受けるとは思えず、その絵は想像しずらい。
「XP守護者聯盟」で検索すると「XP守護者聯盟のドメインを売ります」という結果がまず表示され、カオス感に拍車がかかる
騰訊と金山軟件など数社は「XP守護者聯盟」を設立し、金山軟件は特にアンチウィルスソフトで現Windows XPユーザーをサポート。アンチウィルスソフトで防ぎきれなかったウイルスによる経済損失に関しては、最高で2000元支払うという。
人気急上昇となった「360盾甲」
マイクロソフトの発表時に名前のあがらなかった奇虎360は、めげることなくWindows XP向けソフト「XP盾甲」をリリース。他社に対抗すべく、同ソフトで防ぎきれなかった脆弱性による経済損失に関しては最高で6000元(約10万円)の賠償金を払うと宣言した。
Windows XP向けセキュリティーソフトのイベントも話題に
左はWindows XPのハッキング大会「XP挑戦賽」の説明文。大いに盛り上がった
そんな中で、ネットセキュリティーの研究開発を行なう「湖南合天智匯信息技術有限公司」という企業が、公式サポート終了後のWindows XP向けの騰訊、金山軟件、奇虎360のセキュリティーソフトがどれだけ強固かを競うイベント「XP挑戦賽」(xp.erangelab.com)を3社“非協力”のもとで開催。
このイベントは、実力あるハッカーを多数呼び賞金をかけ、Windows XP Service Pack 3搭載PC3台を用意し、1台には騰訊のWindows XP向けユーティリティーを、1台には金山軟件のソフトを、1台には奇虎360のソフトを入れ、このシステム内に入ったファイルをどれだけ早く盗み取れるかを競うというもの。
ヘビーユーザーの間だけでなく、ニュースでも報じられ話題になったこのイベントは、12時間かけても奇虎360のセキュリティーだけは破られない、という結末を迎えた。このニュースを見たWindows XPのユーザーは、少なからず奇虎360のユーティリティー&セキュリティーソフトに乗り換えたようだ。
ウイルス作成者も稼ぎ時ととらえ、早くもサポート終了の1週間後には、Windows XPの最新セキュリティーパッチと称してウイルスを仕込んだ「XP補丁-双撃即可.exe」(XPパッチ、ダブルクリックですぐOK)なるファイル、通称「XP猟手」(XPハンター)が、定番のチャットソフト「QQ」などで伝言ゲームのように伝播されている。
結果的に一番注目を集めるOSに……
もちろん、マイクロソフトの立場としてはサポートを継続するつもりはなく、あくまでユーザーが次のOSに移行するまでの繋ぎとして、中国ベンダーがサポートすることについて見守る程度のスタンスである。
ただ、中国人が多く利用しているWindows XPを巡り、多くの人や企業がそれぞれの立場から介入した結果、今最も熱いOSとなってしまっているのが実情だ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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