●保身ミエミエの委員長退任劇…理研調査委は解散せよ!
東京スポーツ 2014年04月28日
有利になった?小保方氏
委員長の“不正論文”は調査委員会崩壊の序曲か――。小保方晴子研究ユニットリーダー(30)のSTAP細胞の論文騒動で、不正を認定した理化学研究所の前調査委員長、石井俊輔上席研究員(62)の論文不正発覚→辞任は、日本中に大きな衝撃を与えた。この大失態に、中部大学の武田邦彦教授(70)は「調査委員会のメンバー全員に同じことが起きる。委員会は解散せよ」とぶちまけ、権威が失墜した理研の金満体質を痛烈に批判した。
調査委は、小保方氏から提出された不服申し立てについての審査が続くさなかに、トップの石井氏が辞任することで、再調査判断に影響が出ることは間違いない。石井氏は25日に、「このような状況で委員長を続けることは迷惑を掛ける。身を引くことが賢明と判断した」とのコメントを発表した。
本紙昨報通り、2004年と08年に責任著者として発表されたがんに関する論文で、実験に使った画像の切り貼りなどがインターネット上で指摘されていた。この疑義を石井氏は認めた形。小保方氏の不正を追及する調査委のトップが、同じ切り貼り不正で退陣するとは、シャレにならない。
次から次へと情けない体たらくの理研に対して、厳しい視線を向けるのが武田教授だ。
「組織に問題がある。科学はもともと、お金と切り離されていたが、科学がお金に取り込まれた。理研は金まみれの機関だ。内部はスキャンダルがいっぱいなんです」。理研の金満体質が諸悪の根源だと指摘する。
武田教授によると、理研内部では「使い込みやセクハラ」が横行、週刊誌などで報じられている通り「高級なイタリア製家具を買った者もいる」という。
「そもそも野依さん(野依良治理研理事長)だってノーベル賞をもらったけど、脱税をしていたんですよ。1つのノーベル賞を取るために文科省がかけるお金は100億円と言われている。理研の研究者はみんなぜいたくな暮らしをしている」
確かに、野依理事長は02年に講演出演料などの収益について、国税局から申告漏れ3300万円を指摘され、重加算税を含む1300万円を納税している。
武田教授によると、自身の研究費を確保するために、理研の研究者らは足の引っ張り合いをしているという。疑義が生じてからの石井氏の辞職は素早かった。
その対応について、武田教授は「科学論文でデータ間違いなんてよくあること。『写真の間違いなんて大したことない』と言えばよかった。だが、そんなことを言えば、小保方さんを擁護することになっちゃう。上席研究員のポジションを守りたいんですね」。保身がミエミエの委員長退任劇だと指摘した。
一方の小保方氏については「純情で学問にいちず。汚れた理研から見るとヘンテコな存在だ」と擁護している。石井氏の委員長辞任によって、小保方氏の論文をめぐる調査はどうなるのか。
「私はテレビでもはっきり言いました。『調査委のメンバーみんなダメですよ』とね。メンバーの過去の論文を調べ上げれば、必ず同じような“不正”が掘り起こされる。調査委はなくなりますよ。調査自体もうやむやになって、小保方さんの論文もおとがめナシになって終わるでしょう」
小保方氏の代理人の三木秀夫弁護士は25日、「小保方は自ら画像の取り違えに気付いてネイチャー誌に連絡したが、石井氏は指摘されてから訂正した。同じようなことを過去にやっときながら、小保方を改ざんとは理解できない」と憤りを隠せない。
調査委のずさんさが露呈したことで「委員長が代わって体制も変わるなら、再調査の決定をより期待できる。調査委員会に外部の委員を入れる要求も同じこと」と、小保方氏にとって追い風となると三木弁護士はみている。
調査委員長の後任に弁護士の渡部惇委員が昇格することには「推測だが、研究者を委員長にすると過去の論文で別の疑義が発覚すると恐れたのでは?」と同弁護士。
石井氏の論文の切り貼りを告発した謎の人物について、武田教授は「理研の内部関係者じゃないのか。研究費を得るため足の引っ張り合いをすることはよくある」とも語った。きな臭い雰囲気も漂ってきた。
●理研、相次ぐ論文不正… 科学界は一体どうなっている?! 露呈した構造的問題
zakzak 2014.04.26
小保方氏と同様に論文に疑義が出た理研の石井氏(写真)。どっちもどっち!?
新型万能細胞「STAP細胞」の論文不正問題があらぬ方向に転がり始めた。理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)に続き、不正問題を調べる理研の調査委員会の委員長、石井俊輔上席研究員が、自身が関わった論文に改竄(かいざん)疑惑が出て辞任に追い込まれたのだ。一度ならず二度もミソを付けた国内最高峰の研究機関。一体、どうなっているのか。
問題となっているのは、2008年に石井氏が責任著者の1人となり、英学術誌に発表した論文。乳がんを抑制するタンパク質に関するもので、インターネット上で「遺伝子を調べる実験結果の画像の一部に改竄があるのではないか」との指摘が出ていた。
石井氏は25日に「疑念を抱かせてしまったこと、迷惑をかけたことを深くおわび申し上げる」として委員長を辞任。「不正な改竄ではない」と故意ではないことを強調し、「10年前なら結構多くの人がやっていて許された状況があった」と噴飯ものの釈明をした。だが、疑惑の発火点がネットである点や釈明の内容まで、STAP問題と流れがまるで同じだ。
理研の処分への不服を申し立て、再調査の実施と不正認定の撤回を求めている小保方氏側は即座に反応した。代理人の三木秀夫弁護士は報道陣の取材に応じ、「同じようなことをして、自身の件を改竄としないのであれば、委員会に残り、自分の見解をもとに再度調査をお願いしたい」と理研のドタバタを皮肉った。
研究者の内情に詳しい『医者ムラの真実』(ディスカヴァー携書)の著書がある近畿大学講師で医師の榎木英介氏は、「石井氏のケースも小保方氏のケースも構図はまったく同じだ。双方とも同じ穴のムジナだったということだ」とあきれつつ、こう続ける。
「理研は、小保方氏1人の問題として処理しようとしたが、医学・生物学界に構造的な問題があることを隠しきれなかった。学界全体にデータや画像をずさんに取り扱う風潮が蔓延しているということ。これは氷山の一角で同様の事例はそれこそ無数にあるはずだ」
STAP論文の疑惑も今回の件も、いずれもネット上での匿名の告発が発覚のきっかけとなった。今後、科学界で、こうした動きが広がっていくことが予想される。
「科学界はこれまで外部の者が入り込めないムラ社会だった。その最高権威が理研。ネットが普及して自由な議論が可能となり、これまで権威で押さえつけられ、埋もれていた声が表に出てくるようになった。この機会にウミを出し切ってほしい。科学者も、もはやムラの論理が通用しないことを認識し直す必要がある」と榎木氏。
傷ついた科学界に再生の道はあるのか。
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