●待機児童問題・厳しい保活…育休社員からのSOSに対して、会社ができること①
マイナビ・ニュース 2016/02/23
待機児童問題・厳しい保活…育休社員からのSOSに対して、会社ができること①
女性社員を積極的に活用する昨今、育休中の社員をかかえる企業も多いことでしょう。復職してくれたら、例のプロジェクトを任せようと期待して待っていたところ、「保育園の空きがないので、期日までに復帰できないかもしれません」という連絡が!
周囲に子育て世代の人がいなければ、「保育園に入れるのって、そんなに大変なことなの?」と疑問に思われるかもしれませんが、育休中の社員にとってはまさに死活問題。企業側も代替要員で対処せねばならず、頭の痛い問題です。
「待機児童問題」と保育園入園のための「保活」についての現状がどうなっているのかをおさらいしつつ、育休中の社員が万が一「保育園に入れず復職できない!」となった場合に、会社としてどのように対応すればよいのかを考えてみましょう。
「待機児童問題」とは
待機児童の人数
待機児童とは、保護者が保育所への入所を希望しているにもかかわらず入所ができない子どものことをいいます。平成27年3月20日に厚労省が公表した「保育所入所待機児童数(平成26年10月時点)」によれば、全国の保育所入所待機児童数は43,184人。
待機児童数は主に都市部に集中しており、東京都が突出して多く(12,447人)、2位の沖縄県(2,632人)をのぞき、3位神奈川県(1,903人)、4位千葉県(1,730人)、5位大阪府(1,470人)と、いずれも大都市を抱える都道府県がワースト5位まで並んでいます。
保育所の種類
保育所には、①認可保育所、②(東京都独自の)認証保育所、③認可外保育所、④保育ママ、⑤認定こども園などがありますが、現在公表されている待機児童数には、「①の認可保育所への入所を希望しているが入れず、しかたなく②~⑤などへ預けている場合」は含まれていないことが多いため、実際の待機児童問題はより深刻と言われています。
保育所にはそれぞれにメリット・デメリットがありますが、保育施設や保育スタッフ数の充実ぶりや、利用料の安さといった観点から、多くの保護者が認可保育所への入園を希望しています。
厳しい「保活」。保育所入所までの道のり
認可保育所へのエントリー
認可保育所への入園を希望する場合には、早い段階から手続が必要になってきます。
新年度(4月1日)からの入所の場合は前年の秋~冬にかけて募集・申込が始まります。入園申込にあたっては「在職証明書」などの必要書類を揃えるほか、「育休中か休職中か/自営か・自営以外か/週所定労働時間は何時間か/心身の疾病・障害はあるか/同居の家族がいるか/現在ほかの認可外保育所等に預けているか/きょうだいが認可保育所に在園しているか……」などの事情をエントリーシートに記入します。
これに基づきポイントが加算・減算され、トータルでポイントの高い者から希望する保育園に割り振られていくのです。
その後、翌年2月下旬頃に新年度からの入園の承諾・不承諾通知が送られてきます。承諾を得られた場合は内定の保育園と面談等の手続をすすめ、残念ながら不承諾になった場合は、事前にエントリー(キャンセル待ち)しておいた認可外の保育施設の入園許可を待つことになります。
選考ポイントを上乗せするための「保活」
最近の都市部では、「父・母ともにフルタイムで勤務」というだけでは選考ポイントが足りず、いわゆる「保活」をしなければ入園承諾通知を手にすることが難しくなってきているのが現状です。
少しでもポイントを稼ぐために、育児休業を早めに切り上げて認可外保育所へ預けたり、場合によっては待機児童の少ない他の自治体へ引っ越したりといった手段を講じ、ようやく認可保育所へ入所できた、という話もよく聞きます。
場合によっては、ここまでしても認可保育所へは入れず、しかたなく認可外の保育所へ入れたという話や、認可外保育所すら空きがなく不本意ながら退職した、という話さえあるのです。
企業の人事担当としては、育休社員から「在職証明書を書いてください」と書類を渡される際に、保活状況を聞く機会もあるかと思います。都市部の社員であれば、「どこも空きがなくて……」という場合がほとんどではないでしょうか。
待機児童問題、保活が深刻な社会問題であります。
続いて次回は、人事のみなさまにも直接関連のある「育児休業期間」について考えていきます。
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