まだ無名だったオリバー・ストーンの脚本、そしてアラン・パーカーが監督の「ミッドナイト・エクスプレス」。1978年のアメリカ映画だ。
東西を結ぶ麻薬の道「バルカンルート」。ヨーロッパとアジア、中東とアフリカをつなぐ地理的位置にあり、陸路、海路、空路で様々な人や物が行き交うトルコは、今でも麻薬の重要な中継地点。
恋人と旅行中だったアメリカ人旅行者のビリーは、出来心から麻薬をアメリカに運び出そうとして空港で身柄を拘束さ、現地の過酷な刑務所への4年間の投獄を宣告される。劣悪な環境下で主人公は次第に正気を失っていく。。。
この映画は、犯罪者の人権問題を取上げた政治的な作品として高い評価を受けた。しかし、残虐で異常な人格の看守と人権意識の欠如した法律しかもたない後進国として描かれたトルコの国民にとって、アメリカが最も嫌いな国にもなった。アメリカ社会におけるイスラム系の人々に対する差別意識を煽ることになった作品でもある。トルコは今、対イスラム圏の防波堤としてアメリカに利用されている。