ーーーー「物は壊れる 人は死ぬ そういうわけさママン 三つ数えて目をつぶれ」written by 鈴木慶一
「山が閉じてる」って聴いてそれを思いだしたので書きました。
まりこさんが来てくれてふたりで高峰湖の散策路をあるきました。
わたしは山を歩いても植物や鳥などほんと無知で、案内ができない。
お父ちゃんが一緒にいたら樹々のはなしをしただろうな。
わたしは山のことなにも知らないまま、ここに住んでいる。
あのコはキレイだな、って思うだけ
スギでも紅葉するものがあるんだ、おおきい紅葉
星が散る草 ゼツメツキグシュらしい
野生のりんどうは山のアイシャドウみたい
ここにはなにかいろいろいる 吸いこまれるような水のいろ
うちの裏山もいっしょに歩こうと思ってふたり長靴も履いた。
のに行ってみたらすぐ「行き止まり」になっていた。
低木が生い茂ってて、大きい木が斜に倒れている、そしてその向こうはちょっと暗い。
「もう行けないよ。山が閉じてる」
ってまりこさんが言った。
「山が閉じてる」
ってなんだろう。
でもすぐわかった。
ここはお父ちゃんが一年ちょっとまえにユンボでガガーッと入って道をつけたところ。
だから歩けると思ってたのに。
イキモノはかさぶたのように、閉じる。
ニンゲンがひらいて、ちからまかせにひらいても
ちゃんとキズはなおる。
裏山を歩けなかったのは残念だけど
ほっとした。
私の住む市にも低ーい山があって、良く散歩します。
私は子供の頃から歩いているので、当時の様子
を良く覚えていて、ここに道があったとか、
これは山の裏側が住宅開発されたためにできた
自動車用の道で、昔はもっと高いところを
遠回りしていた、とか言いたいことが沢山あるのです。
秋の落ち葉のシーズンにはその子供の頃の道を
歩くのは一苦労です。すぐそばのショートカットは
観光客が列をなしているのに、そのざわめきが
聞こえるこちらは誰も歩いていなくて、
きっとあちらから見れば落ち葉の海をなぜ
漕ぎながら歩いているのか?という目で見られるのです。
こうしてだんだん古い道は消えていくのですよね。
毎年感じています。でも昨年作った道が
もう閉じるとは、山の生命力は大したものだと
思います。ケモノは通らないのでしょうか。
tenfingersさんが子どもの頃通った落ち葉の道のような、こっそり隠れたり遊んだりなにかを拾ったりする場所がなくなってる。。。さみしいです。
こちら山の変化は逆に植物たちが「ここはもともとわたしたちの山ですよ」って言ってます。
山をひらくとそこに空気が流れてヒトの気配が漂うので
ケモノもちょっとそこを避けるようです。
しばらくすると樹々が道をふさぎ、下からは草木の芽が育ち
虫たちも鳥たちも動物たちも、安心してまたここを行き来し始めるようです。
そこがちょっとだけ薄暗くて、なにかが隠れたりしてる雰囲気です。
探すとケモノ道もあるだろうなあ。
うちの裏山は少しずつクマも近づいてるようで
うっかり入れなくなってきました。