今号の季刊雑誌「上方芸能」(No182号)の特集は「いま 洒落の力を問う」
今日は実に久しぶりに、もう10数年以上も締めていなかったネクタイをして、外出した。ネクタイを止めてスタンドカラーのシャツとしたのは、「役所文化」への反発・抵抗の印にしようと考えたからだ。「前例踏襲」、「ことなかれ主義」などと揶揄され、「お役所仕事」と批判されるような仕事ではなく、市役所を「市民の役に立つ所」にしたいと、その思いの表現としてスタンドカラーで過ごした。
しかし今はもう「役所文化」と離れ、「時間豊か自由人」の身であり、逆にまだまだ仕事はせずとも「人生現役」という思いの表現として、今日はネクタイをしての外出とした。
さて、過日季刊雑誌「上方芸能」(No182号)が届けられた。今号の特集は「いま 洒落の力を問う」だ。ワクワクしながら、楽しみながら今読んでいる。
「ことば遊びのひとつである『洒落』は、周囲の笑いを喚起し、場を和ませる効能をもっている。だが、『洒落』の持つ力はそれだけではない。『洒落』には気の利いた「ウィット」や機知に富んだ「エスプリ」という意味がある。面白い遊びとしての洒落だけでなく、聞く人を感心させるウイット、批判精神を発揮するエスプリがもっと社会で役割を果たせば、私たちの暮らしを改善し、充実して豊かなものにしてくれるだろう」と、特集の組んだ理由の中で書いている。
私は、「オヤジギャク」と言われる寒い駄洒落は連発するものの、エスプリやウィットに満ちた会話とはとうてい無縁である。それには、やはり教養が必要と考える。
たくさんのステキ方との出会いを重ね、たくさんの本を読み、たくさんの貴重な経験を重ねてこそ、身についていくものだろうと思う。義理と恥をかき、自堕落な日々を過ごす者に、洒落た会話は不可能というものだ。
ところで、私は定年退職後それまで購読していた雑誌の多くを、財政事情が許さず購読中止とした。そうした中で現在の数少ない購読誌の一つが、季刊「上方芸能」誌だ。上方文化を大切に思い育てていこうとする「上方芸能」誌の姿勢に共鳴し、その果たしている役割の大きさに痛感するからだ。それ故に、もう20年以上も購読を続けている。
私は語りの芸が大好きで、岡山で落語の公演などがあれば、可能な限り聞きに行っている。しかし、今日の文化状況を考えると、語りの芸とは無縁の「お笑い」などが横行していると、私は考えている。その意味でも、広く関西の芸能文化を守り育て発展させるために貢献している「上方芸能」誌の灯を消してはならないと私は考えている。しかし、その「上方芸能」誌は、他の雑誌と同様に厳しい財政状況にあるようだ。
そこで、我が貧しいブログを訪問してくださっているみなさまへのお願いだ。是非とも、一度季刊雑誌「上方芸能」(一冊1600円、年刊・送料共で7000円)を読んでみて欲しい。同時に、提灯広告で応援するため、2000円の拠出をお願いしたい。私の暮らしも厳しいが、頑張って継続購読と提灯広告の申し込みをしたいと考えている。
システィーナ歌舞伎・片岡愛之助&上村吉弥の「GOEMON」を楽しんだ
徳島・大塚国際美術館のシスティーナホールを会場に、歌舞伎が開催されて今年が三回目となる。その開催に尽力されたのが、上村吉弥丈と「とくしま傾く会」だ。
「とくしま歌傾く会」のみなさんは、私も参加している「おかやま・歌舞伎・観る会」が主催する「備前おかやま歌舞伎」の開催時に、徳島からたくさんの方々が来岡され、私たちの活動に学びたいとのことで親しく交流もさせていただいた。その後のご活躍ぶりは、遙かに私たちの活動を上回っておられる。スゴイ頑張りだ。
さて、三年前から徳島新聞社と「NPO法人とくしま傾く会」、そして大塚国際美術館の主催で、「システィーナ歌舞伎」と銘打って、歌舞伎公演が開催されている。過去二回は上村吉弥丈の主演で開催し、第三回目の今年は今人気の片岡愛之助丈も迎えての開催となった。
今年の演目は、水口一夫作・演出の「GOEMON 石川五右衛門」だ。愛之助丈の石川五右衛門、そして上村吉弥丈の女形と立て役(男役)の二役を演じるなどし、加えてフラメンコを小島章司が踊るなど、何とも魅力的たっぷりな舞台となっていた。
会場周辺には「とくしま傾く会」の幟旗が建てられており、会場では「とくしま傾く会」の法被を着たたくさんの方々が、お世話をされていた。歌舞伎が身近になっている。素晴らしい光景で、嬉しくも思った。。
ところで会場となる大塚国際美術館には、私は初めて行った。入り口を入ると、長いエスカレーターで、システィーナホールのある地下四階に上がる。建物は地上二階まであり、1000余点の西洋名画が、原寸大の陶板名画として製作・展示されている。
何とも広い展示場であり、すべて歩くと2時間はかかるという広さだ。一日中作品を見ている方も少なくないと聞く。ただ、私もすべての展示コーナーを見ることは、とてもできなかった。
さて昨日も、片岡愛之助丈&上村吉弥丈にご挨拶に伺わせていただいた。上村吉弥丈は終演後間もない時であり、化粧を落とされており記念写真は断念した。片岡愛之助丈は舞台姿そのままで、お写真をお願いできた。感謝だ。
昨日は秋晴れの青空の中を瀬戸大橋を渡り、海岸線を走り、鳴門大橋を見た。そんな美しい景色、そして大塚国際美術館の美しい陶板の名画群を楽しみ、極めつけのシスティーナ歌舞伎・片岡愛之助&上村吉弥の「GOEMON」に魅了された。ステキな秋の1日だった。