ちょうど2カ月前、友人が自ら命を絶った。45歳の若さだった。訃報を聞いたのは、彼の死から3日ほど経ってからだった。馴染みの飲み屋のママから「ねえ、K氏が自殺したってホント」。まさか、1週間前に、メールをやりとりしたのに、嘘だろう。
「Aさんって、知ってる?」
「知らない」
「そう。最近、K氏とたまにお店に来た人なんだけど、昨日電話してきたのよ」
私はその場で、K氏の携帯に電話をすると、「おかけになった番号は…」とつれない返事。ショックだった。
最近、自分で商売を始めて、張り切ってると思っていたが、内情は違ったのだろう。
K氏と出会ったのは22年前だった。私がフリーの編集者として出入りしていた、会社に彼が入社してきた。某TV局の制作部を辞めて、中途入社してきた彼と妙にウマがあって、良く飲みに行った。やがて、彼もフリーになり、やがて一緒に事務所を構え5年ほどパートナーとして苦楽を共にした。それから、互いに違う道に進んだが付き合いは続いた。たぶん、彼の人生の中で、私が一番付き合いの長い友人だったと思う。
数年前、私は虚業から足を洗い、肉体労働をしたり、気まぐれにライターをしたりして、のんきにやっていたが、彼は実業家として忙しくやっていたことから、会う機会がめっきり減ったが、たまにメールや電話で近況を報告しあっていた。
それだけに、まさか死ぬほど追い込まれていたとはまったく気付かなかった。もっとも、死ぬほど金で困っていたとしたら、私に相談しても力になれないことははっきりしているだけに、「なんで一言相談してくれなかった」と責めたりはしない。
きっと、最期間近の他愛のないメールの最中にも、彼は死を意識していたのかもしれない。そういえば、今年になって命を絶つ直前までのメールは、彼のビジネスとは無関係の話で、まるで一緒に仕事をしていたころのようにTV番組の企画の相談だった。ひょっとしたら、一番楽しかった頃への現実逃避だったのかもしれない。切ない。いざとなった、何もできない無力さを思い知るのが現実なのか。
「Aさんって、知ってる?」
「知らない」
「そう。最近、K氏とたまにお店に来た人なんだけど、昨日電話してきたのよ」
私はその場で、K氏の携帯に電話をすると、「おかけになった番号は…」とつれない返事。ショックだった。
最近、自分で商売を始めて、張り切ってると思っていたが、内情は違ったのだろう。
K氏と出会ったのは22年前だった。私がフリーの編集者として出入りしていた、会社に彼が入社してきた。某TV局の制作部を辞めて、中途入社してきた彼と妙にウマがあって、良く飲みに行った。やがて、彼もフリーになり、やがて一緒に事務所を構え5年ほどパートナーとして苦楽を共にした。それから、互いに違う道に進んだが付き合いは続いた。たぶん、彼の人生の中で、私が一番付き合いの長い友人だったと思う。
数年前、私は虚業から足を洗い、肉体労働をしたり、気まぐれにライターをしたりして、のんきにやっていたが、彼は実業家として忙しくやっていたことから、会う機会がめっきり減ったが、たまにメールや電話で近況を報告しあっていた。
それだけに、まさか死ぬほど追い込まれていたとはまったく気付かなかった。もっとも、死ぬほど金で困っていたとしたら、私に相談しても力になれないことははっきりしているだけに、「なんで一言相談してくれなかった」と責めたりはしない。
きっと、最期間近の他愛のないメールの最中にも、彼は死を意識していたのかもしれない。そういえば、今年になって命を絶つ直前までのメールは、彼のビジネスとは無関係の話で、まるで一緒に仕事をしていたころのようにTV番組の企画の相談だった。ひょっとしたら、一番楽しかった頃への現実逃避だったのかもしれない。切ない。いざとなった、何もできない無力さを思い知るのが現実なのか。