21世紀中年

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今年の菊花賞が暗示する将来

2022-10-24 18:18:31 | ヨレヨレ競馬ライフ

 菊も終わってみれば、ブレがあだになってしまった。当初の方針を貫けばバッチリだったのに、発想を広げすぎてしまった。まあ、あまり褒められたことではないが、クラシック経験馬が上かも馬券を押さえたので、ほんの少しだけプラス、秋天に首の皮一枚つながった。

 その秋天だが、今年も超豪華な顔ぶれが揃った。その一方で、菊にクラシックの勝ち馬が出なかったことで、来年の春天はメンバーの格落ち必至だろう。そのうち、3000m以上の長距離路線は別物として障害と同じ扱いになるのではと心配にすらなる。長距離ファンとしては、スピード競馬至上主義になりつつある競馬界に、本当にそれでいいのと疑義を唱えたくなる。

 天皇賞にこだわり、馬づくりをしていたメジロ牧場が破綻してから、はや数十年、メジロの栄光は競馬ファンから忘れ去られようとしている。皐月賞は一番早い馬、ダービーは一番運がいい馬、菊花賞は一番強い馬が勝つという、オールドファンにはおなじみのクラシックの格言もいずれ消え去るのだろう。

 今年の菊花賞が特別だったわけでなく、稼ぐ馬は長距離を使わないことが主流になりつつあるのだ。長距離レースは馬に負担を強いるだけでなく、スピード競馬になった今、2000mの競馬と3000mの競馬ではまったく違う競馬が求められるからだ。昔は、距離が短かろうが長かろうが、違うのはペース配分だけであり、短ければ速く走り、長ければゆっくり走る、足を使うのは終いだけという競馬だった。しかし、近年は2000mまでのレースは明らかに前半のペースが速くなっており、前半1000mのラップが1分を切るレースはざらにある。そんなスピード競馬が身についている馬が、3000mの競馬を走ると明らかに競馬に狂いが生じるわけで、頑張って菊花賞に勝ったとしても、その後のレースですっかり調子がくるってまったく勝てなくなるケースもあるというわけだ。

 一例を上げれば、三冠馬コントレイルと菊で激走を演じたアリストテレスだ。年が明けて最初のAJCこそ勢いで勝ったが、それ以降は鳴かず飛ばずだ。もし、菊をレコードで勝ったアスクビクターモアやボルドグフーシェが、順調に勝ち星を増やし、春天以外のGⅠで活躍するなら、展開も変わるのだろうが、アリストテレスのような道を辿れば、どうなるか。キタサンブラックやタイトルホルダーのような馬がポンポン出るなら、展開も変わるのだろうが、あのあっぱれな芸当はそうそうできるものじゃない。まして、差し馬となると平成以降はディープ、オルフェ以外にいない。菊を勝って2500m以下のGⅠで活躍する馬は、ほんの一握りなのだ。くどいようだが、菊と連動するGⅠは春天だけなのだ。それとて簡単ではなく、忘れた頃にワールドプレミアが勝ったのは記憶に新しい。

 極端な話が、三冠馬の称号にこだわるのか、確実に勝てるレースを勝ち、凱旋門賞はじめ海外GⅠを目指すのかということだ。種牡馬として稼げるのは当然後者だろう。もしかしたら、コントレイルが最後の三冠馬になってしまうかもしれない。

   

コメント
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